ライブ日程/京流




何だこのスケジュール。

何度見返しても、俺よりもファンの子達と一緒にいる時間のが多いんじゃねぇのって思う、DIR EN GREYのライブ日程を見つめる。
一緒にいれる時間がねぇ…。

眼鏡越しに日程が書かれてる画面を見つめながら、煙草の灰を灰皿に落とす。

まぁ俺らもロングツアーはやったりするけど。

京さんあんまライブパス出してくんねぇんだよな…何でだろ。
メンバーさん達にも挨拶させて欲しい、気がする。
またチケット自分で取るか。


そんな事を考えながら紫煙を吐き出す。

すると京さんが風呂から出て来る音がした。
上半身裸で、下はジャージだけでタオルを肩に引っ掛けて。

いくら暖房効いてるからって、風邪引きますよ。

綺麗な京さんの身体に視線を送り、一挙一動を見つめる。
仕草一つ一つが格好良い。


「…なん。何見とん」
「え、いや、京さん格好良いな〜って」
「ふーん。キモい」
「見てるだけなのに!?」
「うん」
「ひでぇー…」
「は」


烏龍茶を飲みながらガシガシと頭を拭いて俺の背中にあるソファに座る。
破顔した顔も、見惚れるぐらい、好き。

吸い終わった煙草を、揉み消す。


「京さん、2年前の3月10日って幕張メッセでライブやったんですよね」
「あー?そうやっけ?」
「で、俺らも今年3月10日に幕張メッセ7周年ライブやるんです」
「ふーん」
「何かこれって運命感じませんか!!」
「いや、全然。偶然やん」


一言で片付けられてしまった…ヘコむ。
いやでもこれマジ運命感じんだって!!


「それでですね、3月10日、京さんライブ無いじゃないですか」
「うん」
「パス出すんで来て下さい」
「……めんどい」
「えー、ダメですか?嫌ですか?」
「ウザ…」


京さんの方に向き直って、言ってみるけどあんま乗り気じゃねぇみたい。
何回かパスは出してんだけど、来てくれた事は…あんのかわかんねぇ。
何も言われねぇし。
いや、京さんにライブとか見られて何か言われんのも怖ぇけど。


「ダメですか?」
「んー…」


生返事をしながら、京さんは煙草を手にして火を点ける。

あんまライブ来んの好きじゃねぇのかなぁ…。


「3月はワンマンやっけ?」
「え?あ、そうっすよ」
「ふーん…」
「…京さん正月のは来てくれたんですか?」


一応1月3日のもパス出したんだけど。



「あぁ、あの成人式でガキがハメ外しました〜みたいなライブのヤツな」
「来てたんですか!?」
「うん」
「え、え、何で教えてくれないんですか」
「やってるきのバンドしか見てへんもん。めんどいから帰った」
「えー…ちょっと会いたかったです…」
「家で会えるからえぇやん」


京さんの煙草の灰が落ちそうだったから、灰皿を差し出すと煙草を弾いて灰を落とす。


「アレ可愛かったやん」
「え?」
「前髪」
「あぁ…って、可愛かったですか!?」
「嘘やけど」
「えぇー…」


何かすげぇ京さんの言葉に踊らされてる気がすんだけど。
ちょっと落ち込み気味になってると、京さんの手が伸びて来てガッと前髪を捕まれた。


え!?
な、何!?


突然の事にビビッて固まってると、前髪を上げられた。
デコ全開。
京さんのやる事がわからなくて、そのまま京さんの顔をじっと見つめる。

…と、ふと離された。


「アカン。すっぴんやと不細工で無理」
「なッ、ちょ、酷っ!」
「はいはい」
「……京さんの馬鹿」
「誰が馬鹿やねんこのデブ。死ねや」
「で、デブってません!」
「はッ」


灰皿に煙草を押し付けるのを見つめながら、八重歯を見せて嘲笑う京さんはめちゃくちゃ格好良い。
本気で格好良い。


「…取り敢えず3月10日来て下さい」
「気ぃ向いたらな」
「向いて下さい。京さんの気が向きますように!」
「何やねんソレ」


可笑しそうに、目を細めて笑う京さん。
髪の毛ぐしゃぐしゃってされるその仕草は、ガキ扱いされてるみたいなのに京さんにされると嬉しい。


内緒でも来てくれんなら、やっぱパス出しとこ。




20090123


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