融解温度@※/敏京


「今日のPVさー京君可愛かったよね」
「は?なしたん、いきなり」

撮影後。
敏弥んち。
連日撮影ばっかで、めんどいから近い敏弥んち来とんやけど。
楽やん。
色々してくれるし。

今日も撮影終わって、待っとった敏弥とコンビニに寄って帰宅。
適当に弁当食って、ソファの上で寛いどった時の不意の言葉。

つーか可愛ないし。


「髪の毛ロングでさー新鮮な感じだったじゃん」
「それと可愛い関係無いやろ。敏弥かて女形やったやん」


そっちのが可愛いやろ。
とは言わんけど。
敏弥は僕の髪の毛引っ張ったり撫でたりしながら、ニッコリと笑う。

猫みたいな顔。


「そりゃ俺も可愛かったけど」
「ウザ」
「え、可愛かったでしょ?」
「無いし」
「素直じゃ無いなぁ」
「調子乗んなや」


わしゃわしゃっと髪の毛を撫でる手を払う様に手を上げる、とその手を不意に掴まれた。
何なん。


「でもムカつくんだけど」
「はぁ?」
「京君、女に触り過ぎ」
「仕事やん」
「でもダメー。京君に触っていいのは俺だけだもん」


ガキみたいな事を言いながら、そのまま腕を引かれて敏弥に抱き締められる。
下らんなぁって、そう思っても敏弥から伝わる体温が心地良い。

そのまま大人しくしとると、敏弥の手がそう言う手つきで僕の身体を撫でて来た。
…僕今疲れてヤる気な無いんやけど。


「敏弥、離せや」
「…ねぇ、何処触ったの?何処触られた」
「……しつこいし。どうでもえぇやん」


ほんまウザい。
心底うんざりした顔で敏弥を見たら、結構真剣な顔しとったから一瞬止まる。
何なん。
何で今日そんな突っ掛かって来んねん。

そりゃ、今回のPVは女との絡みはようけあったけど…仕事は仕事やし。
ってか。


「敏弥かて」
女と絡んどったやん。

そう言おうとした言葉を飲み込む。
何か、無理。
嫉妬とか、思われた無い。


言葉が続かなかった僕の口の中、敏弥の親指が入り込む。
ざらつく舌を撫でられて、目を細める。
その指を舐めるのは反射的な行動で。


「こうやってさ、女にされてる京君をモニター越しに見てると、あぁ、俺のなのにって思う」
「ん…ッ」
「ダメだよ他に触らせちゃ」
「とし…っ」


言うや否や、そのままソファに押し倒される。

ほんま下らん理由。
ウザい。

…けど、微かに嬉しいと感じる僕も相当ウザい。
嫉妬とか。


「敏弥、ほんま疲れとるから無理」
「大丈夫だよ。京君気持ちいい事大好きじゃん」
「そんなん…ッ」
「黙って」


反論しようとしたら、そのまま敏弥に唇塞がれた。
ぬるりと舌が入って来て、咥内を舐め回す。
息が出来んぐらい、酸素を奪われるようなキスに視界が霞む。
敏弥の手が服の中へと侵入して身体を撫でる感覚に、まぁいいか、と抵抗を諦める。

する意味もあんま無いし。


「京君…」
「ん…、とし…っ」


敏弥の舌に、自分の舌を絡めて吸い上げる。
お互いが貪る唾液が混ざる水音と段々上がって来る呼吸の音だけが聞こえ、自分の身体を撫でる敏弥の指に神経を集中させた。






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