IntersectionB※/京流
暫らく抜かんまま、るきの身体を抱き締めていた腕で緩くるきを撫でる。
先程までお互いを貪っとった身体は、熱い。
呼吸も落ち着いて来たるきが、そんな僕の仕草に目を細めて嬉しそうな顔。
ほんま、こんなんで機嫌ようなるとか簡単つーか何つーか…。
「…京さん」
「何や」
「我儘聞いてくれて、有難う御座居ます」
「は?」
「ライブ、見なくてもいいって言うのは嘘になりますけど、こうして、この日に呼んでくれて嬉しいです」
「あぁ。なん。なして今日そんな会いたいん」
「クリスマスだからです」
「糞食らえやん」
「…あんま俺も興味無かったんですけど…京さんと、だから」
過ごしたいんです。
そんな女々しい事を言うるき。
女々しいけど、下らん理由やけど、しゃーないやん可愛いと思ってまうんは。
言わんけど。
返事の代わりに、るきの唇にキスをして、身体を起こして中から引き抜く。
軽く息を詰めて身体を強ばらせたるきの隣に身を沈めた。
眠い。
明日も早いんやっけ。
リハあるやんな。
そんな事を思うと尚更、眠気が来る。
「るきー」
「はい」
僕の隣で少し身体を寄せたるきに声を掛けた。
「風呂入ってき」
「え」
「僕もう寝るから。そのままでえぇならえぇけど、明日の朝あんま時間無いと思うで」
「あ、はい」
「はよーな」
「はい」
僕がそう言うと、るきは素直に身体を起こしてバスルームに向かう。
あー…眠い。
でも抱き枕が来るまでにはもうちょっと。
乱れたシーツの上、無造作に布団を被る。
シャワーの音が聞こえる中、目を瞑って暗闇になった視界で考える、あの日。
嫌やな。
何が嫌なんやろ、僕は。
まだ越えられへん自分がどうしようも無くアホ臭くて、しんどい。
アカン。
1人は。
「京さん…」
シャワーから出て来た、るきの声。
「…寝ました?」
キシッとベッドが軋む。
熱が、隣に入り込んで来る。
間を置かず、ガッと腕を絡ませ引き寄せる。
遅いねん、抱き枕。
「……おやすみなさい」
静かに聞こえたるきの声と、鼓動と体温。
「…メリークリスマス、京さん」
糞ったれ。
翌朝。
勿体無いからってるきが持って来たケーキを食べとった。
いけるん、そんなん。
1日放置やったやん。
そんな事を思いながら、備え付けのるきが煎れた茶を飲む。
るきが僕にと用意したクリスマスプレゼントは、結構重量感のあるブレス。
結構値が張ったやろなって感じのヤツ。
僕何も用意してへんけど。
そう言うたら「昨日もう貰いました」ってベタな台詞。
恥ずかしげも無くよう言うわ。
「それ、俺の代わりです」
「は?」
「海外やツアー中。会えないんで」
「何やねんソレ。僕が寂しがるとでも思っとん」
「いえ、俺が寂しいんで、ちょっとでも京さんの傍にいたいなって」
「は」
「ちょ、笑わないで下さいよ!」
「はいはい、口にケーキついとるで」
「マジですか…!?」
何でコイツは…ほんま女々しい思考回路やな。
手に持ちブレスをかざして、その延長線上にいる口元を拭うるき共々見つめ眺める。
別に嫌いや無いデザインやから付けといたってもいい思ったけど。
そんな事を言われると思うツボの様で付けた無くなるやん。
「付けて下さいね、京さん!」
「嫌やアホ。もっとマシなチョイスせぇや」
「ダメですか!?」
「死ね」
あからさまにヘコんだるきの表情に、笑みが零れる。
まぁ、昨日よりも気分えぇから、考えてやってもえぇんやけど、るきの顔がおもろいから黙っとく。
…どうでもえぇけど、1人でワンホールのケーキ食ったら太るで。
終
20081228
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