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暇さえあれば隙をみてミントンかカバディをする山崎が珍しく、縁側に座ってボーっとしていた。
「どーした山崎。悪いものでも食べたのか?」
そのいつもと違う様子に、近藤は心配をして声を掛けた。
「え?あ、いや…今日の夕飯何かなあと思ってまして」
我に返った山崎は近藤を見て話す。
「ん?けど最近お前、外で食べてないか?」
「あ、はい。彼女の家で食べてます」
「………」
山崎の言葉が一瞬理解出来なくて、頭の中で繰り返した。
「な、なんだってェェェーーー!?」
近藤の大袈裟な声が屯所中に響き渡った。
「…という訳でさ、局長に凄い驚かれちゃってね」
「ふふっ、きっと退に恋人が出来るなんて思ってなかったのでしょうね」
「あーなんか酷いなァ、その言い方」
とか言いながら、山崎は菜々と一緒に幸せそうにご飯を食べる。
「でもあれくらいで驚いてたら同棲するって言った時、血相変えそうだよ」
「…心配してくれてるって事じゃない?ね、退。やっぱり…無理して同棲しなくても大丈夫だから…」
菜々は箸を進める手を止めて、苦笑しながら山崎を見つめる。
山崎はニコリと笑って
「大丈夫。俺だって菜々の傍に長く居たいから。菜々のお願いはちゃんと叶えるさ」
安心させるように話す。山崎の笑顔に弱い菜々は、頬を赤らめてコクリと頷いた。
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