学級裁判が終わったその後、廊下を通ると何と2階への階段に登れるようになっていた。
モノクマ曰く、希望ヶ峰学園は学級裁判をこなす度に探索エリアが広がるとかなんとか。
上を覗き込んで見るとどうやら5階ぐらいはありそう。
とりあえず2階を探索することになったので、教室を回ってみるがあまりめぼしいものはない。
最後にいかにも何かありそうな図書室を調べることになったが、苗木くんが見つけたある手紙によるとどうやら希望ヶ峰学園は廃校になったらしい、……廃校?
霧切さんが言うには、黒幕が廃校になった希望ヶ峰学園を乗っ取って、いまの奇妙な空間が作られたとか。
…ご丁寧に窓まで全部締め切るとか、なかなかご苦労なことだ。
すると不二咲さんが壊れたパソコンを持ち帰ろうとしていたので、少し話しかけてみる。

「ねえ不二咲さん、そのパソコン直ったりするの?」
「これ?…うーんどうかな、やってみないとわからないけど、多分できると思うよ」
「へー、不二咲さんそういうこともできるんだ。今度パソコンとか教えてもらってもいい?」
「僕でよければ、大歓迎だよ」

パソコンがあれば、たとえインターネットが使えなかろうと何らかの収穫はあるだろう、超高校級のプログラマーもいるし。
わたしもパソコンは昔から研究に使っていたが、プログラミングとかそちらの方向も少し興味ある。
やり方はまったくわからないけど。

「そうだ…、ね、ねえ…あのさ」
「どうしたの?」
「…君はさ、桑田くんのことどう思う?」

重い話を持ってきたなこの子。
どうやら不二咲さんはあの時桑田くんに投票したことをずっと気にしているらしい。
でもそれは、仕方のないことなんだと思う、……だってそうしなかったら、わたしたち全員が殺されていたんだし。
自分を正当化するしか、こんな極限状態で精神なんて持つわけがない、でも不二咲さんはすごく優しい子だから、それが許せなかったんだと思う。

「大丈夫だよ不二咲ちゃん!私たちみんなで協力すれば絶対抜け出せるって!」
「フン、またお仲間ごっこか」
「……十神くんって、どうしてそういうこと言うの?」

折角朝日奈ちゃんが慰めてるっていうのに、空気の読めない人!
わたしたちはみんな高校生だ、本来ならこんな事巻き込まれるはずもなかったし、耐えられないのも当然。
そりゃ、十神くんとかセレスさんとか、こういうの慣れてそう…?な人もいるかもしれないけど。

「テメェ、調子乗ってんじゃねえぞ!!」
「やめるんだ大和田くん!」
「うっせえんだよ!」

あーもう、折角みんなで探索してたっていうのに雰囲気は最悪だし、…自分が楽しいのはどうでもいいけど、他人のことまで巻き込まないでくれるかな!
……そんなことは流石に言えるはずもないので黙っていると、朝日奈ちゃんが空気を変えようとある提案をしてきた。

「そうだっ!ねえねえ、プール行こうよプール!プール!」
「…プールかあ、気分転換にはいいかもね」

そんなわけで女子更衣室に向かったのだが、そもそも霧切さんや腐川さんはどこかへ行ってしまったし、セレスさんも化粧が崩れるから嫌だとか、不二咲さんに至っては女子更衣室が苦手と言い出した、どういうことだ。
結局気分も晴れないまま、わたしは2階をふらふらと歩く。
そうだ、図書室でも行くか。

「…あれ、苗木くんだー」
「ああ汐海さん、キミも図書室?」
「そうだよー、折角行けるようになったんだから見てみようかなって」

あの図書室へ無駄に広かったので、わたしの興味を引きそうな本もあるかなというのと、単なる暇潰しだ。
毎日毎日同じ生活というのも飽きてくる、外には出たいが殺人を犯す気など毛頭ない。
それは苗木くんも同じようだったようで、わたしたちは一緒に図書室へ向かったのだが。

「…あれ、腐川さん?」
「ひい…っ」
「……そこで何をしている…目障りだ出ていけ」

十神くんの罵詈雑言の嵐に、腐川さんは耐えられず図書室を後にする。
心配なので追いかけてみると何というか…腐川さんは恋に落ちていたようだ。
人間、いろんな人がいるんだなと再確認。

図書室から持ち出してきた本を自室でぺらぺらと捲り、気づけばもう夕飯の時間だ。
冷静に考えると学校で夕飯を食べるのに慣れている高校生ってどうなんだろうか、とりあえずちょっとだけ知識が増えたわたしは滅入いっていた気分も晴れてスキップで食堂へ向かった。



週刊少年ゼツボウマガジン(1)


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02/09


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