「…姉さま?」
「えっ、この自由奔放の代名詞みたいな方が檸絽さんのお姉様なんですの…?」
「檸絽さんのお姉さんですかー!あっ私知ってます、第八位の檸絽楓さんですよね!」

後ろからもざわざわと、なんだ姉だとか第八位がどうだとか。
混乱する楓に妹と名乗る少女は会釈した。

「お久しぶりです姉さま、諷ですよ諷」
「…確かにわたしには諷っていう妹はいるけど……」

信じられるはずがない。
目の前にいる『風紀委員』の少女はこちらに向かって満面の笑顔。

「いや、あの…あんたが妹なのか、わたしは長いこと妹に会ってないからわからない。ごめん」
「それは仕方ないですよ、姉さまは兄さまと先に学園都市に行っちゃいましたからね」
「……その通りだけども」

妹だと判断するのはまだ早いが、この容姿、情報、珍しい名前と共に微かに昔の記憶が蘇る。
…忌々しい兄の記憶も。

「…それじゃあんたがわたしの妹だって言うのなら、わたしが学園都市に行く前、渡したものがあるはずだけど」
「ちょっと待ってくださいね、今出します……あっはいこれですよね?」
「………うん、確かにこれで間違いない」

諷が取り出したのはくすんだピンク色のリボンだ。
小さい頃、楓が髪を結ぶのに使っていて、既に使えなくなってしまったほどの意味のないリボン。

「…ごめん白井ちゃん、ちょっと借りてく」
「30分だけですのよ、貴女と違ってこちらの檸絽さんは『風紀委員』なんですから」
「わかってる、それじゃ」

Sister,in Same City
(血を分かつ二人)

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02/19


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