「ねいろ、どうして戻ってきたの?」
「なーんかこの実験とやらが、ちょっとばかし気に入らなくて」

この研究所にはまだ少ないが人が残っている。
ここの人間ならば多少の情報は知っているはずだ。

「ねえ、ちょっとあんた、『実験』について。…教えてもらえるかしら?」
「はっ、無理に決まってる!これを口外したら俺だって殺されるんだ!」
「今死ぬのと後で死ぬのどっちがいいかさっさと選べよクズ」
「うっわー…檸絽怖っ」
「…何か言った?」

男の研究者は渋々楓に実験の概要ファイルなるものを手渡す。
それをぱらぱらとめくっていた楓の額から一筋の冷や汗が。

「ねいろ、何が書いてあるの?」
「『量産型能力者計画』と『絶対能力進化計画』…?」

そこに印されていたのは御坂美琴の軍用クローン、通称『妹達』のデータ、そして第一位、一方通行の詳細だ。

「絶対能力って、結局どういう話な訳?」
「わかんないけど、みさ、…第三位のクローン2万体を、一方通行…第一位が殺すと絶対能力者になれる、とかいう馬鹿げた計画らしいわね…」
「統括理事会も馬鹿なこと考えるわねー、結局、檸絽はこの計画、どうするつもりな訳よ?」

すぐに楓は豪語する。
フレンダ達もそれを見越していたのか、再び呆れのポーズをとる。

「…止めるわ、こんな馬鹿げた計画。わたしが許さない」
「大丈夫、わたしはそんなねいろを応援してるよ」
「しゃーない…結局、麦野には黙っててあげる」
「…ありがとね」

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あらかじめ美琴と戦っていたフレンダや、『体晶』で体を酷使した滝壺は車で休むらしい。
何となく休む気にもならなかった楓は、車の上に乗って空を見上げた。
するといつ戻ってきたのだろうか、絹旗が楓に声をかける。

「檸絽さん、そちらは超終了されたんですか?」
「こっちは麦野に任せたよ、絹旗の方は収穫なし?」
「いえ、こちらはそちらが陽動の可能性も捨てきれませんでしたので、…麦野の言う通り長点上機学園の生徒が一人、何か超思索していたようでした」
「長点上機…?ますます意味がわからないわ」

あの実験概要を見る限り、どうやら『量産型能力者計画』で作られた御坂美琴の2万体のクローンが『絶対能力進化計画』に使われる、ということだ。
それを阻止したいのはまず御坂美琴、これは大前提だ。
果たして長点上機の人間は何がしたかったのだろうか。

「…一度、ちゃんと会って話を聞かないとね」
「どなたにですか?」
「御坂美琴、学園都市の第三位さんだよ」
「いやあ、檸絽さんは本当に超能力者の知り合いが超多いですね」
「そうかもねえ、不思議なこともあるわ…そのうち簡単に第一位にも会えるかも」
「その可能性も超否定できません、何しろ檸絽さんですから」


Outline "Experiment"
(行動不可能の願望)

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03/16
やっとキャラがいっぱい出てきてわたしは幸せです


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