退院してから数日後。
夏休みも終盤に差し掛かった頃、ほとんどの生徒は宿題に取り掛かるころだろう。
楓とてそれは例外ではなく、勿論学校の宿題もあまりやってはいないのだが。
相も変わらず学園都市の暗部という連中は学生に優しくない。
さっそくお仕事が楓へと舞い込んでくる、どうやら今日は『アイテム』全員で向かうという内容だとか。
楓としては大人数だとむしろ、味方にも被害が出そうな能力なのだが、それよりも麦野の能力の方が一つ上手だ。
それがもどかしくも感じるし、頼りになるとも思う。
遮蔽物すら関係ない、当たれば即死、まさに一撃必殺の能力。

『アイテム』のメンバーと合流し、仕事先へと向かう。
5人揃っての仕事は久しぶりだ。
しかし今日は数が多いだけで内容としては簡単なのだが。

「…製薬会社からの依頼?それってウチの管轄じゃなくない?」

仕事も後半に差し掛かったころ、麦野に一通の電話が届く。
しかし楓たちはそれを全く気にせず、手だけは動かしながら、休日の女子のような会話を広げる。

「…だから、プライベートプールじゃ意味なくない?」
「ですが市民プールでは超泳げたものではないですよ」
「どうせなら豪華なプール使ってみたいけどねえ」
「わたしは浮いて漂うスペースがあればどっちでもいいよ?」

「はーい、お仕事中にだべらない、新しい依頼が来たわよ」

麦野の一言で、各自バラバラに人を殴るなり踏むなり飛ばすなり、荷物を運ぶなりしていた『アイテム』の4人は、そちらを向く。

「謎の侵略者からの施設防衛戦よ!」

「…また超能力者だったりしたら大歓迎的なのになあ、ふふ」
「檸絽さん、超相変わらずすぎます、少しは懲りてください」

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『んでさ、とまあ侵入者は発電能力者の確率が高いらしいのよ』
「…発電能力者ねえ」
「なんだ、じゃあ超能力者ってことはないわね」
「どうして超言い切れるんですか?」
「結局、常盤台の第三位『超電磁砲』とウチの第四位『原子崩し』以外に、発電能力の超能力者はいないって話」

楓は至極残念そうに溜息をつく。
他の『アイテム』のメンバーは本当に相変わらずだな、と思いながらも連絡係の話を聞く。

『てゆーか依頼主はどうも犯人が特定できてるっぽいんだけどねー』
「…は?」

全員目が点になった、の表現が似合うように、驚きというか呆れというか、それぞれ微妙な顔をしていた。

「…だったら何でそんなまどろっこしいことすんのよ」
「そうですよね、余計な仕事が超増えると思うんですが」
『こいつらときたら!余計な詮索は禁止らしいわよ』
「結局意味わかんないんだけど」
「ま、誰だろうと倒せばいいってことね」
「うん、頑張る」
「やはり超こうなるわけですか」

Mysterious ElectroMaster
(集結時は開戦前)




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