「お、遅かったな二人とも!」
「ユウキくん!」

長い森を抜けた後、カナズミに出迎えてくれたのは先に出発したユウキくんだった。
どうやら彼はもうジムバッジを手に入れてしまったらしい、やっぱり男の子はすごいなあ。
感心していたが、今日はもう夜も遅いので明日の朝挑戦することにしよう。
ユウキくんとハルカちゃんの3人で、部屋を借りて就寝の用意をした。

「………あれ?レノンさんのこれ、なんか鳴ってるけど…」
「あーーっ!これってライブキャスターだろ!?イッシュのやつだ…」
「ん、こんな時間に誰かな…ってえっ……!?」

わたしがイッシュ地方を旅していたときに、使っていたライブキャスターから、電話回線の音が鳴り響く。
…もう夜もかなり更けているというのに、こんなことをしてくるのなんて一人しかいないけど。

「……あれ、レノンさん出ないの?」
「もちろんだよ、もう夜だしね」
「ええー!」

ライブキャスターをしまって、3人でベッドに潜る。
電話に出れなかったのは申し訳ないけど、それはそれ、これはこれ。
せっかくユウキくんとハルカちゃんが一緒なんだから、今日はそれを楽しまなくちゃ。
2人が寝静まったのを見計らって、再度ライブキャスターの電源を入れる。

「もしも〜し、さっきはごめんね、どうしたの?」
「あ、レノンさんッ!いや、レノンさんの弟から、今ホウエンにいるって聞いたんだ!」
「ああー、そういえばヒュウくんにはどこに行くか伝えてなかったね…ごめんごめん」

電話の相手はイッシュのヒオウギに住む男の子。
1年前、一緒にイッシュ地方を旅したパートナーだ。

「うちでちょっといいことがあったから、レノンさんにも分けてやろうと思ってな!きっとホウエンの旅でも役に立つぜッ!」
「え〜なんだろ、じゃあ楽しみにしとくね!」
「おうッ、また今度イッシュに来てくれよな!」

要件だけ手短に言って、彼は電話を切る。
本当に嵐のような男の子だ、…結局のところ、彼はポケモンを送ってくれたらしいけど…。
まあ、それは明日でいいかな。


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