番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら3〜
【女審神者 side】
――ばれてしまった。
あれから私は長谷部さんによって強制的に審神者の部屋に送られた後、「ゆっくり休みたい」と言って主命を使って長谷部さんを下がらせた。
普段使わない主命を使ったのには訳がある。
……あの佐助さんの妻と名乗った子と私の名前が同じだったからだ。
そっくりの顔に同じ名前……どう見てもパラレルワールドから来たとしか思えない彼女に動揺が隠せない。
そしてもっと動揺が隠せなかったのはおそらくそれをあの鶴丸さんに感づかれてしまったのだ。
…まだ他の人だったら良かったのかもしれない。
歌仙さんや一期さん、それから薬研だったら私の意見も少しは聞いてくれるだろうから。
でも、鶴丸さんは私と光忠さんとの仲を応援しているし、「永久に」私がここにいることを望んでいる可能性が高い。
…そこまで考えた私は頭を振ると、審神者に最初に配られるという「マニュアル」に目を通し始めた。
この状況を打開する方法はないか、と調べるためだ。
調べるにはあまりの厚さに少し目眩みがする。
…元々、休むと言ってここに来たのだ。少し寝よう。
まだ杞憂である可能性もないとは限らないし。
枕とひざ掛けだけ押し入れから出すと、私は目を閉じた。
――すると、あの日のことを思い出す。
番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら3〜