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3 「彼の物語との共通項」





 「天は二物を与えず」という言葉があるが、あれは間違いだ。

 とりあえず今、着ているものだとコスプレになること間違いなしのため、私の着替え(単なるシャツにジーンズにしておいて正解だった。)に衣裳チェンジしていただいたのだが、(途中、男子トイレにやむを得ず入り、着用の仕方を教えるというやるせないやりとりはあった。)そこにはモデル顔負けの彼が立っていた。


そして、そこはかとなくチャラい。


 衣裳変えても目立ちそうだなと思いながらも、佐助さん(呼び捨てにしてほしいとの要望だったが、拒否した。一応、時代的には彼が年長者だ。)に声をかけてみる。



「とりあえず今日はその格好で我慢してください。もう少し街に出たら、佐助さんの服を調達するので。」

「いや、なんか悪いね。着替えまで借りちゃってさ。」

「(さっき脅した口が何を言うか。)あ、武器とか云々はとりあえずこれに入れて持ち歩いてください。」



 佐助さんが着替えている間に調達してきた上田城公園の土産物屋に売っていた迷彩柄のリュックに、先ほどまで着ていた異世界のものをすべて詰め込む。それを背負った後、どこからどう見ても旅行中の大学生にしか見えないことを確認して頷く。


よし、これで偽装は完了だ。



「今から佐助さんは姉と城めぐりの旅行中。現在、大学生で卒論は終わり、ぶらぶらしていたところに、ちょうど長期休暇をもぎとった姉に連れられ、ここにやってきたという体でお願いします。」

「いいけど…だいがくせい?そつろん?って何。」

「大学生は戦国時代でいう寺で読み書きを習うような身分の人のことです。正確には読み書きよりももっと高度なことを学んでるんですけど。卒論は大学という寺を出るときにどうしても必要なものです。忍びでいう試練みたいなものでしょうか。」

「ふーん。とりあえず名前ちゃんの物見遊山に付き合えばいいんだね。」

「そんな大層なものじゃないんだけどなぁ。」



 私の説明にわかったようなわかってないような(間違いなく分かっていない)顔をして佐助さんは頷いた。

だが、ここでもっと詳細な説明を求められるのは勘弁してほしい。

何しろ私は初めて戦国時代の人間に「大学生」と「卒論」を説明したのだから。



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