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16 「時移り事去る」


16


 佐助さんが再度、こちらに来てから数日が過ぎた。

今まで自堕落な生活を送ってきたのは佐助さんの手によって改善され、今では戯れにインスタントラーメンに手を伸ばそうとするものなら、すごい勢いで説教されるようになってしまった。



 肝心の約束の方もお互いしっかり守っている。


…時々、キスを深くして事に及ぼうとする佐助さんを除けば。


約束さえしっかり守られていれば、何だかんだで居心地がいい。

甲斐甲斐しく佐助さんはお世話してくれるし、それに遠慮なく頼ってしまう。

気軽に何でも話せるし、佐助さんの世界の話も私は佐助さんがいない間、予習をしっかりしていたので、話についていける。


まさしく理想の関係だった。


それが恋人という関係なのかは微妙だけれども。



 それから色々、佐助さんの世界のことについて聞いていて分かったことがあった。

まず、今佐助さんが暮らしている世界は宴の世界線の後だということである。

こちらの史実通り、徳川が関ヶ原の戦いで勝ったその後の世界――ただし、こちらの史実とは異なり、信玄公は尚も健在で、負けた方の西軍も多少の負傷はあれども、主要武将達は生きているとのこと。(さすがに病を患っていた竹中半兵衛、関ヶ原の戦いのきっかけである豊臣秀吉の死は経ていたらしいが。)

幸村さんはどうやらこっちに初めて渡ってくるまでは多少の負傷はあったみたいだが、今ではすっかり元気らしい。それは良かった。


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