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6 「偶然に出会った物語」





 家に着いてまず始めにしたこと――それは荷解きである。


 1人分の布団及びこれからの生活用品を買ったのだ。時間がかかるに決まっている。


 その作業を佐助さんに任せながら、自分は食料品を収納し、今夜の夕食の準備を始める。

 準備を始めると言っても、レンジでチン、略してレンチンの作業だけなのだが。こういう作業の割り振りにしたのは実に単純。


 さっき佐助さんの機嫌を損ねてしまい、あの怖い笑顔から出来るだけ長い時間晒されないようにするためだ。

 あれは実に心臓に悪い。

 …って何で宿を提供する側の人間がここまで気を使わなければならないのか。



「不条理だ。」

「何が不条理なの?」

「そりゃもちろん…ってあれ?声に出てましたか!?大変申し訳ありませんでした!お命だけはご勘弁を!」

「名前ちゃん…俺様別にそこまで怒ってないから。でもちょーっとだけ虫の居所が悪いもんだから、付き合ってくれる?」




 そう言った佐助さんの笑顔は…それはもう極上の笑顔だった。



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