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17 「お2人様ご来店」




――ちょっと待った。何かがおかしい。


というか久しぶりに会った幸村さんと話がかみ合わない。


目を合わそうとしない佐助さんを捕まえ、問いただしてみると、あちらの世界で私と恋人になったことを触れ回ったらしい。

それを、何を曲解して捉えたのか、幸村さんはこちらで結婚したと勘違いし、今に至るという。


何だか根回しがうますぎて、久しぶりに佐助さんの恐ろしさを感じてしまった。

きっと忍びの祝言は珍しいに違いない。

願わくば、武田の地までで噂がとどまっていてほしいところだが、そんな甘くはなさそうだ。



 幸村さんの誤解もしっかり解いたところで本題を話す。

「お友達」を呼びたいと言ったけど、出来ればこのアパート内で収まる人数にして欲しいこと、異世界の話をすぐのみこんでくれそうな人という制限で呼ぶ人を決めてもらう。

まずは御館様、謙信公、かすがさんと順調にメンバーが決まっていく。

謙信公繋がりで前田慶次さんも呼ぶことに決まった。

後は誰を呼ぶべきか――考えあぐねていると、幸村さんはとんでもない提案を出す。



「やはりここは政宗殿も呼ぶべきだと思うのだが、いかがでござろう?」

「「ねーよ。」」

「何故!?」



 幸村さんの提案は佐助さんと私の満場一致で却下された。

このアパートの中でパーリーするのはやめていただきたいからである。

それに佐助さんの機嫌を損ねかねない。


ここはとりあえず慶次繋がりで利家とまつさんでもいいかもしれない。

まつさんがサポートに回ってくれると思うし、こちら側の負担が減るからだ。


あとはあの人がいいかもしれない、と私は名案を出してみる。



「時の人ということで家康さんはどうでしょうか。後にこちらの世では将軍となる人ですし、恩は売っておくに限りますよ。」

「…うーん、何だか接待じみた招き方になるよね。」

「佐助さんにとっては、ここまでのメンバーで十分接待じみているとは思いますが。」



 私の言葉に佐助さんは遠い目をする。


やばい、地雷ふんだな。

本当は真田十勇士の方とかお呼びしたかったんだけど、何しろバサラに宴シナリオでしか出てこないんだもん。


私がフォローの言葉を探し始めていると、佐助さんは急に元気になる。



「名前ちゃんと過ごす初めてのクリスマスだから、それくらいは我慢するよ。」



 どうやら私と一緒にクリスマスをするという事実で自身を奮い立たせていたらしい。


佐助さん……アンタは立派にサラリーマンになれるよ。


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