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6 「偶然に出会った物語」




 佐助さんの着替えも用意し終わり、放置したままのPS2を片づけようとリビングに入った途端――異変に気付いた。


 戦国BASARA2のゲーム画面がついたままだったはずのテレビ画面は砂嵐に変わっており、茶髪の頭がテレビから生えているように見える。


 これはまさしく…貞子だ。


 私はその衝撃的な出来事を前にしばらく絶句していた。


 なにこれ。デジャヴ?…そうだ、こんな時に彼がいるんじゃないか。


 佐助さんを呼ぼうと思い立った瞬間――



「出たよ、名前ちゃん。そこに突っ立ってどうしたの?」

「ひいっ!?」



――タイミング悪く出てきた彼に驚き、思わず抱き付いてしまった。


 私の様子に少し驚いた佐助さんだったが、私が視線を向ける先を追いかけ、彼も事態に気づき、殺気と呼ばれるような類の空気を放つ。

  そのまま私達が警戒しながら見守っている間に、最初は首だけ出ていた物体が腰の辺りまでずるりというような効果音とともに部屋へと出てくる。

 今にも追いかけてきそうなそれに私は身体を震わせたが、佐助さんはさっきまで放っていた殺気をやめてこの場にそぐわないような気の抜けた声を出した。



「もしかして……旦那?」



 旦那?


 私の疑問に答える間もなく、佐助さんは物体Xに近づき、そして――一気に引っこ抜いた。




 赤い戦装束に鉢巻姿の茶髪のイケメン――そこにはさっきまでゲーム画面にて後ろ姿を見ていた真田幸村の姿があった。


 というか主従揃ってホラーな登場はやめていただきたい。私は切にそう思った。





――「偶然に出会った物語(赤鉢巻の柴犬がうちにやってきた)」

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