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27 「和をもって貴しとなす」




 佐助さんの誤解が解けたところで、結局、招くメンバーは喫茶店で話題になった家族ごっこのメンバーに決まった。


おそらく竹中専務もこのことを見越して、このチケットをくれたに違いない。

どこまで出来た上司なのだろうか。


心の中で竹中専務に賛辞を送った。



 家族ごっこメンバーを呼び出し、上司からチケットを貰ったことからこのメンバーで行くことになったことまで一から十まで説明を終えると、一番に反応したのは幸村さんだった。



「名前殿のお招き感謝いたしまする!某、とうとう「じぇっとこーすたー」なるものに乗ることが出来るのだな…やりましたぞ、御館様!」

「旦那、煩い。でも、名前ちゃん、皆を招いたのはいいけど、最近こっちに来てない竜の旦那と前田の風来坊の服どうすんの?季節、大分変っちまってるんだけど。」

「そのことなんですが、佐助さん。政宗さんと慶次さんを連れて街に買い出しに行ってくれませんか?何なら、片倉さんも一緒に連れて行ってください。その間に私、かすがと幸村さん連れて、かすがの服とお菓子とか調達してから駅まで行ってレンタカー借りてきますし。」

「えー…俺様と右目の旦那に面倒事全部押し付ける気?勘弁してよ……。」

「…猿、テメェどういうことだ?俺を面倒事扱いなんざ、いい度胸してるじゃねぇか?」

「はぁ…前から馬鹿だ、馬鹿だとは思ってたけど、まさか自分が面倒事だという自覚がないだなんて思わなかった。」

「んだと!?」



 喧嘩を今にも始めてしまいそうな佐助さんと政宗さん。


ちなみにこれは想定内だ。


私は切り札を佐助さんに手渡して耳打ちをする。

…多分、忍びのかすがなら聞こえてしまっていると思うけど、気にしない。



「佐助さん…引き受けてくれたら、この「平日に1回、恋人の時間設けます」チケットをお渡しするんですけど、いかがでしょうか。」

「ふーん…名前ちゃんも中々、分かってきたじゃん。よし、俺様、可愛い恋人のためにもひと肌脱ぎましょうかねぇ。」



 私から切り札を受け取り、さっきとは打って変わってやる気満々の表情を浮かべた佐助さん。

それを見た政宗さんはいがみ合うのをやめて口笛を吹く。


「猿を躾けるだなんて、中々やるじゃねぇか。」


――なんか政宗さんにはばれているっぽいが聞かなかったことにしよう。



「…やけに聞き分けがいいじゃねぇか、猿飛。」

「べっつにー?それより右目の旦那、早く出かけるよ。戻ったら、夕餉の準備しなきゃいけないんだからさ。」

「忍びの兄さん…ますます主夫業が板についてきたんじゃないかい。」

「煩いよ、風来坊。置いていくよ。」

「悪かったって!頼むから、撒かないでくれよ!?」



 騒がしく準備をして出ていく3人。

最後に片倉さんだけがこちらに残り、私に声をかける。表情が幾分か怖い。



「…テメェ、もしや今晩も野郎と雑魚寝する気じゃねぇだろうな?」

「That’s right.(だって部屋が足りないんですもん。)」



 いい笑顔を浮かべて片倉さんに返してみる。

何か言いたそうな片倉さんを「俺様、竜の旦那の面倒だけは見たくないからちゃんとついてきてよ!」と悲鳴をあげる佐助さんが引きずっていく。


佐助さん、グッドタイミング!…どうやら説教は免れたようだ。



 こちらもいい加減行かないと日が暮れるなと思い、かすがと幸村さんを連れて、駅へ向かう。

最初はかすがの服を買おうと思ったのだけれど、彼女は私の比較的地味な類の服を選んで「これにする。」と仰った。


まあ…似合っているんだけど。解せない。

可愛い子は可愛い服を着るべきだ。


せめて何かヘアゴムとかシュシュで可愛いアピールさせてもらおうと私が決心していると、かすがが私に申し訳なさそうな顔を向けていた。


あれ?私、何かした?



「…猿飛とあんな約束して良かったのか?私は名前が犠牲になってまで出かけるつもりはなかった。」

「かすが、大袈裟だよ。そりゃあ最初こそ、佐助さんの向けてくる過大な愛情は怖かったもんだけど、今は慣れっこですよ。それに佐助さんとそういうことするの嫌いじゃないから。曲がりなりにもちゃんと恋人してます。」

「…相変わらず趣味が悪いな、お前は。」

「…一体、何の話をされているのか、某、見当もつきませぬ。」

「真田、女の秘密だ。」



 幸村さんの破廉恥発言を片手で封じながら、私とかすがは顔を見合わせて笑った。


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