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鈍い頭がいつも以上に重たく感じる。
ゆっくりと体を上げて数度瞬きを繰り返せば、ようやく体は常時の動きを取り戻し始めた。まるで古くなったパソコンのようだ。情けない自分の体に失笑が漏れる。
下着一つすら身に付けられていない真白い肢体には、至るところに紅い花が咲いていた。
首筋、胸の周り、股と言った性的なものを感じる部位に殊更多く色付いているソレらは、あの男の狂気すら感じる執着を目の当たりにしているようで、ぶるりと体が震えた。
何も見たくない。
こんな情夫のような体も、
己の恐怖も、
何よりも、あの男を。
――――何も、見たくない。
「なんで、こんなことに……」
もうどれだけこの言葉を繰り返したか分からなかった。
なにが間違ったのだろう。
どうすれば良かったのだろう。
自分がいけなかったのだろうか。
なにが。なにが。なにが。
何度となく問い続けても、答えは出ない。
一つ溢れた涙は、シーツの染みとなって消えた。
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