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出会えて良かった



入社3年目を過ぎた頃、恋人と呼べる人が出来た。

沖田くんの言う通り宅飲みしてお互いの家に泊まる仲の男の人が居る事を伝えても気にしないと言われ、夜の方も好きじゃないって言ったらそれが目的じゃないからから大丈夫だと言う優しい人。
そんな都合良い事あるかなとも思ったけど、あまり疑い過ぎるのも良くないと思うし取り敢えず優しいから告白を受け、それをお世話になってるわけだしと一応報告したのが今。


「ま、取り敢えず学習能力があんなら同じ事にはなんねーだろィ。」

「気を付けます」

「意外だな、普段しっかりしてんのに男関係は駄目なのか。」

「変なのが寄って来たっつーのもありやすけど、コイツにも原因はありまさァ」

「その節は大変お世話になりました。」


最近土方さんとも飲みに行くようになった、2人きりは無いけれど3人でいつもの居酒屋でこうして飲んだりはしている。
私が元気無かった時を心配してくれていたそうだから、お礼と一緒に「当時お付き合いしていた人とちょっとありまして」と濁して伝え、今回前に進んだ報告を2人にした所。


「私は2人こそモテるのに何で彼女居ないのか不思議ですよ」

「めんどくせェ」

「興味無ェな」

「……世の男性を敵に回す発言ですね」










定期的に新作が出るコーヒー店に1人で行ったりもするけれど沖田くんと一緒に行く事も多く、近藤さんの話を聞いて和みながら「最近どうなんで?」と心配なのか興味本位なのか聞いてくる質問に一応順調だと答える。

急かされたりしないしあまり私に触れないようにしてくれてるからそれに甘えて過ごしてるのもあるけど、待ち合わせにいつも早く来てくれる彼に今日こそ私がと自販機でブラックコーヒーを買って待っていれば走って駆け寄って来てくれたりするし、いつも笑顔だし、家に行ってもレンタル映画観て別々で寝るから至って健全だ。


そんな日々が続いたお陰で、やや雰囲気が出た時に軽くキスされたけど平気だったし身体触られても平気だった。

いざそう言う事になっても、身体に力が入ったら止まってくれて優しかった。だから恐怖が消えつつ安心はしたのに、やっぱり何も感じ無くて、私の身体はこう言う事に向いてないんだなと改めて思い、申し訳無いからちょっとわざとらしかったと思うけど声を出したら喜んでて、何だかどんどん気分が冷えて行き、でもそれ以前にある事が無理過ぎて自分自身に呆れる。

私なりに努力はしたけど結局は無理で別れを告げたら悲しそうな顔をしつつも受け入れてくれて最後まで優しい人ではあった。

だから余計に罪悪感を感じたけど、それももう半年は前の話。




「結局何だったんで? 別れた理由。」

「……それは聞かないで、私自身の問題なの。私付き合うとか向いてないのかも、他人に触る意味が分からない、リハビリさせて貰ったから感謝してるけど、もう良いや」

「なぁ、俺気付いたんだけどお前ソイツの事好きだった?」

「へ?」

「告白されて付き合って一緒に居て優しいのは分かったけど、好きだと思ったんで?」


…………え、どうゆう事? 普通に思ってたんじゃないの? 私好きじゃない人としない、って、それ私が言える事じゃなかった。何かそれ自体に特に意味を感じなかったし、ただ身体使われてるだけって感覚にも陥った。でも怯えとかじゃなくて、行為そのものに冷めた。

でも好きだったと思うけど、……好きってなんだ。あ、ドキドキとか? してないな、……え?ドキドキとか私するの? 私の心臓って高鳴る時あるの?
別に嫌いな人と付き合ったりしないと思ったけど、好き……好きとは一体?


「浮気された事あんだっけ? 男に冷めてんじゃねーの?」

「えぇ、…………そうなのか? 確かに優しいか優しく無いかしか思ってないけど、ドキドキってなんだっけ?」

「先ずはそっからだろィ、リハビリは出来たんだし次はそー言う奴見つけなせェ」

「沖田くん凄い気に掛けてくれるよね、嬉しいけど。」

「……まぁ、笑ってりゃ良いのにって、思わなくもねぇ。」

「何だどうした、私凄い好かれてる。」

「俺がヤれんなら付き合ってやっても良かったのにな?」

「何でそんなに偉そうなの?」

「けど想像すら出来無ェ上に挿れてぇとも思わねぇから無理、気には掛けてやるけど期待すんなよ」

「ねぇ本当に何でそんなに偉そうなの??」


腹立つを通り過ぎて感心するよ。何も期待してないから大丈夫、私は貴方と友達になれて良かったと心から思ってるからね。


「なぁ。彼氏持ちの女をストーカーするんでも無く近付く訳でも無く、視界にも入れねぇでただ想い続けた男ってどう思う?」

「何かの映画? 切ないね。」

「少しくれぇ応援してやりてぇと思うだろィ」

「そうだね、幸せになれば良いなと思うよ。そんな一途な人を見てる人が居ると思うし。」

「女に困ってるワケじゃ無ェんでさァ、意中の女だけしか見てねぇらしい。今まで喰ってた寄って来るメス豚どもが眼中に入りらなくなる程に。」

「久々のメス豚!てか何その映画、男の経歴悪すぎる。直ぐ飽きて気持ち冷めるんじゃないの。」

「結構しつけェと思うけどなァ。今日知り合いん所飲みに行こーぜ。」

「突然話が変わる。 でも珍しいね、美味しい所?」

「結構旨ェし安い、ダラダラ自由に出来るし」

「そうなんだー、楽しみ! 」


昼休みに会話した後、ルンルン気分で仕事を終わらせたのに知り合いの所ではなく正確には知り合いの家で、私の経歴を知っていながら男しか居ない家に連れて行くなんてどう言う了見だと思ったけど、その半年後やっぱり沖田くんに感謝する事になるから貴方に出逢えて良かったと心から思ってるよ。




─END─





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