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2021.10.10 銀さんの誕生日小説の続きで糖度高めのお話



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酒2本とバァさんに渡されてた鞄のみで何の準備も無しで来ちまったが、大体のモン揃ってるしシンプルな和室が落ち着く部屋だ。
ただ温泉で酒飲むにゃそれなりに準備が必要だったと気付くが、渡されてた鞄から徳利とお猪口が出て来て流石としか言いようがねぇよ。


「お猪口小さいよねぇ。」

「お前ホント顔に似合わず飲むよな。」

「顔なんて関係あるかな? あ、クレンジング入ってる!流石だよねお登勢さん、おかずタッパしてくれてるし。」

「マジでか。」


徳利に酒を注ぎながら、テーブルにタッパを並べてる名前を見ればウキウキとしてる姿が目に入る。
「苺まで入ってる!」と喜びながら冷蔵庫に向かう姿も「温泉楽しみだね。」と浴衣を準備する姿もまぁ可愛いわ。自分で言い出した事だが俺大丈夫かな、温泉行けるかこれ。

だがしかし一緒に入ってくれるってんだから入らねぇなんぞ勿体ねぇ事はしねぇよ、最悪耐えられなくなったら先にあがるなりすりゃァ良い。


「普通にシャワーしてから温泉行っちゃ嫌だ?」

「全然? つかそれが良いだろ、俺先でも後でもどっちでもいーよ。」

「銀さん全然飲んで無かったよね、先に入って温泉で飲んでる?」

「んじゃそーする。」




───────




シャワーなんざ10分もありゃ終わっちまって1人温泉で飲む酒も普通に旨いし贅沢だなこりゃ。
4人で来た所よりこじんまりした所だが2人なら十分だしすげぇ静かだ、さっきまでの騒がしさが懐かしくも感じる程に静かで風の音しか聞こえない。

そう言や酒を1人で飲む事は殆んど無くなったな、そもそも1人の時間もそんな無ぇか。
やかましい程に賑やかで、それは今も昔も変わらない。1人だった時もあった筈なんだけどな、当たり前みてぇに過ごすこの日常が当たり前では無いって事は俺にも分かる。それでも今の俺を見てみろよ、人生捨てたモンじゃねぇよ。


小さく聞こえた扉の開く音に目を向ければ、真っ白なバスタオルに身を包んで少し照れた顔して笑ってる子が俺の傍に寄って来る未来なんざ想像した事も無かった。
大事に出来る自信なんざ無い、傷付けねぇ自信も無ぇし俺の傍に居てこいつの為に何のかだって分からねぇが、


「ふふ、お待たせ。逆上せてない?」

「まだんな経ってねぇだろ、急いで来たのか?」

「ダッシュした。」

「はは、ゆっくりで良いっつったのに。」


「お邪魔しまーす。」とゆっくりお湯に伸ばす脚はあまり見ねぇようにさっきまでの思考を巡らせても、結果はいつでも同じだ。


何だってするさ、こいつが傍に居てくれんなら何だって。自信なんざ無くたって良い、俺は完璧なんかじゃねぇからな、それでも足掻いて捕まえとくさ。


「銀さんどうしたの?」

「んー? 昂っちゃわねぇように真面目な事考えてんの。」

「真面目な事? どんな事?」

「お前が傍に居続けてくれる為に俺は何をすりゃァ良いのかなーとか。」

「そんな簡単な事考えてたの? 銀さんが私を離さなければ良いだけだよ?」

「俺が離さなくったってお前勝手に離れて行くじゃん。」

「私も人間だから間違えちゃう時もあるかもしれない、色んな事を間違えちゃう。」

「俺から離れたくなんのも間違いだって?」

「離れたいと願う事は無い、これは絶対だよ。でも、離れた方が良いのかなって心が弱っちゃう時もあるかも知れない……」


分からねぇ事も無い。けどお前が思うより恐らく俺はお前を手離すなんざ出来ない、よっぽどじゃねぇ限り無ぇな。お前はしそうだけどよ。


「迎えに行っても良いの。俺に愛想つかしたかって思わねぇ事もねぇんだけど。」

「愛想つかすなんて有り得ないよ。私が銀さんから離れるなら銀さんがそれを望んだか、私が弱ってて正常な思考ではないから。」

「ふーん? その2つしか無ぇから遠慮なく迎えに行けちゃうわ、お迎えと言う名の捕獲だけど。」

「銀さんが思うよりずっとずっと私には銀さんが必要なの、……銀さんにも私が必要かな?」

「もうお前の居ねぇ生活なんざ考えらんねぇよ。」


そうさせたのは紛れもなくお前だ。お前は何もしちゃいないと言うかもしれねぇが、人ん中に簡単に入って来て住み着きやがったんだから勝手に出て行かれちゃ困んだわ。

俺の隣で身体ごとこっちを向き無防備に座ってるこいつを囲うなんざ簡単だが心まで繋ぎ止める方法は無い。
今は指だけで容易く顔が上がり真っ直ぐ俺に向けられる目も、お湯で火照った顔も汗ばむ肌も誰かにくれてやる気かんざ無ぇぞ俺は。


顔を近付けて伏せられる瞼に煽られ、軽く重ねるだけのつもりが数回食ませちまうのはいつもの事だから見逃してくれ。


「……のぼせちゃう」

「この顔をさぁ、誰か他の男に向けられると思うと俺マジで殺すと思う。」

「私を?」

「はは、お前はそうだなァ。どーしよっか。」


少し下がった目尻に唇を乗せれば口許が笑う、俺の狂愛をんな簡単に受け入れちゃって良いのかお前、もっと怯えた方が良いんじゃねぇの。

上がった頬を軽く食めば余計楽しそうに笑うしお返しとばかりに俺の頬に唇が触れる、温泉のせいで体温が高い肌も湿った唇も誰にも渡すわけねぇだろ。

例えお前が俺から離れたくなってもな。


「ふふ、大丈夫。銀さんが私を必要としてくれる限り、私はずっと銀さんの傍に居るよ。」

「……それ一生だけど。」

「そうなの? やったぁ。」


やったぁ。と嬉しそうな顔してくれんのは俺も嬉しいが首に腕を回すんじゃないよこの子は全く何を考えてんだ? 忍耐力は強ぇ方だけど反射的に抱き締めようと伸びた手は触れる前に止まり、何なら微動だにせず硬直してんな俺。


「……ふふ、ちょっと待って、自分でしといてこれ中々、……ふふ、ごめんね、」

「いやいやいやいや照れんなよ、二人で照れたら甘酸っぱい空気漂っちゃうから。これから大人の甘ったるい空気にする予定なんだから甘酸っぱい刺激は要らねぇの。」

「ちがうもん。」

「何が!? んな可愛い顔して拗ねてもダメだから!もうお前こっち見んな、ほら前座っとけ。」

「やだ狡いじゃんかっ、私だけなんも見えない、銀さんは私見えるのに私は銀さん見えない!」

「はいうるさいよー。」


大人しく動かねぇから勝手に前に移動させたがお湯の中だし軽々と移動出来、脚の間に収め腕を腹に回せば捕獲完了。不満そうに顔が振り返ったが酒を前に出せばコロッと笑顔になりもう俺が見えなくても気にもされない。


「一緒に飲もー、カンパーイ。」


晒される首元が何ともまぁ。
機嫌良く俺に注いで来るのは直ぐに止めさせ俺が注ぐ事にした、じゃねぇと潰されかねねぇよ。

湯の中で俺の脚に手を乗せ、しっかり寄り掛かりながら酌されるこいつはやはり酔う気配がない。
時折腕を伸ばし「ツルツルになったかなぁ?」と俺に寄せて来るからかなりご機嫌な事は分かるが酔ってるわけじゃねぇな、これでも駄目か。


「銀さん脚ツルツルになって来たんじゃない?」

「んー、いやつーかさ、お前ダメだろ太腿を撫でんじゃないよ。」

「えぇ、銀さんいつも撫でるじゃん。」

「お互いバスタオル1枚なの分かってんだろ? 加えて俺が直ぐ昂っちゃうのも分かってるよな?? 」

「私が太腿触っただけで?」

「お前は認識が甘過ぎるわ。俺が触るだけじゃねぇんだよ、触られても反応すんの。いや毎回触られる度にとかじゃねぇよ? そりゃ普段何気無く手を置かれても何ともねぇけど、だとしても今は完全にアウトだろ。」

「じゃあ私と温泉入って何したかったの? お酒飲みたかっただけ?」

「何って、……え? 何かして良いの?」

「何かにもよるけど。……ちょっとくらい頑張る気持ちで来てるよ。」


マジでか? ……あ、だから抱き付いて来たの? すげぇ頑張って抱き付いて来てたもんな。

ちょっとってどんくれぇ? 寄り掛かって来なくなった肩が小さくなった気ィすんだけど構えてんじゃねぇのかこれは、無理して頑張んのは違ぇってのに。


「無理すんなっての、ただ一緒に入りたかっただけだから。」

「……んー、……太腿さわる?」

「……は?」


太腿っつったか今? バスタオルが既に太腿半分しか隠れてねぇんだぞ、つか布1枚しか身に纏って無ぇのにか。コイツ自分で何言ってんのか自覚あんのかよ。

肩越しにチラリと振り向き何かを確認された気がしたが、離れてた距離がまたゼロになりピッタリ背中が俺に寄り掛かかって来てる。
怖いお目々とやらでは無かったわけね? まぁ自分で分かるけどよ、唖然としてたろうな。


「銀さんに任せる、私はお酒飲んでるから。……銀さんもう直ぐお誕生日だから、我儘許されるの、いやこんなの普通我儘でも何でも無いんだけどね、」


脚に力入ってるみてぇに膝同士が引っ付いてたり、小さなお猪口を両手で握ってたり寄りかかってるようでやっぱり身体が強張ってたり、なのに俺の為に頑張ろうとしてくれんだな。十分俺に付き合ってくれてると思ってんだけど足りねぇとでも思ってんのかね、んな緊張して大好きな酒も進んでねぇじゃん。


後ろから軽く頬を掴んで横を向かせれば目が見開き顔を近付ければ息を飲む、ぎゅっと閉じる目は無意識なんだろうな。


「酒ちょーだい。」

「……、え?」

「酒それ飲まして。」


途中で近付くのはやめ話ながら横向きに抱き直せば多少目が泳いだが、ゆっくりお猪口を俺に寄せてくるのを自分から飲みに行き、口に含んでから再度顔を寄せれば意図を読み取ってくれたのか顔が上がり唇も少し開かれる。
自然に閉じる瞼が1番だよな、コク、と動く喉を確認してから唇を離せば見えた表情には照れが乗ってる、折角頑張ってくれてんのを無下にはしたくねぇが無理な頑張りは頂けねぇのよ。


「旨ぇ?」

「……うん、美味しい。」


胸元でぎゅっと握ってるお猪口も伏せ目がちの照れありきなら寧ろ良い、心音鳴らすなら高鳴る方にして欲しいだろ、俺を見上げて紅潮する顔を見ながら楽しみてぇじゃん?


「脚しか触んねぇけど無理はすんなよ?」

「っ、……ぅん、」


背中を支えながら反対の手を膝に乗せても俺を見上げる表情に変わりは無く、ゆっくり撫でつつ軽くキスも繰り返してるが思ったより平気なのか布まで手が到達。
ほんの少し指を腿の間に入れちゃったりなんかしてんのに特別拒絶もされねぇから顔を離せばいつもの顔だ、キスで照れちゃいるがそれだけ。


「思ったより平気なんだ?」

「ね。」

「あんなガチガチに構えてたのにな。」

「触られてるのは分かるけど銀さんの体温が良く分からないからかな。」

「まぁお湯ん中だしそりゃそーだ、俺もお湯のせいで手触りが違ぇわ、上がってから良い。」

「とか言いながら触るんだね? 」

「だって平気そーだしィ? 腕も回して抱き付いて。勃ったら上がるからもういーや。」

「何で急に開き直ったの!?」

「開き直ったつーかそろそろ逆上せそうだから最後に堪能しようかと思って。」


言いながらも素直に抱き付いてくれるモンだから今度はしっかり抱き締めといた、ちゃっかり脚は触ったままでしっかり布1枚の柔らかさを堪能させて貰う事にする。


「あー、……幸せ。」

「ふふ、私も。」

「ずっとこうしててぇくらいだけど、あっちィな。マジで逆上せそう。」

「冷たいの飲みたいね、日本酒じゃなくてシュワシュワしたのが飲みたい気分。」

「あー分かる、炭酸飲みてぇわ。ビールでも甘いのでも良い、キンキンに冷えてんの飲みてぇわァ。」

「途中で自販機あったよね?」

「あったな!しかもこの階じゃね?」

「シュワシュワ飲んでから飲み直そっか、もう上がろ。銀さん先上がって?」

「おー。フラ付くかもしんねぇから気ィ付けろよ?」

「うん、ありがとう。これ全部飲んじゃっても良い?」

「……ぶっ倒れんなよ。」

「はーい。」


それでもフラ付いて倒れやしねぇかと心配しちまう俺が過保護過ぎるのか?
しっかりドライヤー掛けてから「行こっか。」と火照りの消えた顔を向けて来るこいつの身体がおかしいんだよな?









自販機で悩んだ結果2種類の缶チューハイを半分ずつ分ける事になり、日付の変わる数十分をのんびり過ごし変わったと同時のハグには笑っちまった。
誰より楽しそうにこの瞬間を待ってたんじゃねぇかな、俺の生まれた日を喜び祝って何度も繰り返す「お誕生日おめでとう」の言葉。そして、


「はっぴばーすでーとぅーゆー。はっぴばーすでーでぃあ銀さーん、はっぴばーすでーとぅーゆー。」


もしかして酔ってんのかと頭を過るがそうは見えない。
お酒を注ぐ手元も箸使いもしっかりしてるし楽しそうに俺を見上げて笑う顔は、ご機嫌と言う言葉がピッタリだ。


「お口で飲みてーな。」

「いいよー。」


ニコニコと楽しそうな顔を見てたら口に含むのは少しで良いと言うのをすっかり忘れ、膝で立ち照れもせず躊躇なく重ねる唇から流し込まれる量は多い、水じゃねんだからもうちょい少なくて良いだろうに。
だが飲みきれず垂れた酒を追うように舌が顎まで移動し舐め取られてから唇に残る酒までやんわり食まれて唇で拭われる、これはもう最高としか言いようがねぇよ。


「おいしー?」

「最高、もうひとくち。」


笑いながら頬に垂れた髪を耳に掛け酒を口に含みまた唇が寄せられる、これを繰り返せば俺は早々に落ちるだろうな色んな意味で回りが早い。

首に腕を回して抱き付きながらなのはかなりイイ、だがもっとゆっくり飲めねぇのか、わんこそばじゃねんだぞ。
そう思っているのに言えねぇのは無自覚だった場合何が切っ掛けでこれが終わっちまうのかが分からねぇから、何せ今かなりエロいよこいつ。気付いてねぇんだと思うが着物に慣れてねぇせいか足元ははだけてるし酒を追って来る唇も舌も積極的で止めるのは惜しい。


「……? 銀さん寝ちゃう?」

「……、ん、や、……いける、」


倒れねぇようにテーブルに片腕を乗せ身体を支えちゃいるがもう結構飲まされてる、けどこいつも眠たいんだろう瞬きが遅くなってんだよな。
俺が潰れるのが先か、こいつが睡魔に負けるのが先か。

酒を飲まされながら後頭部を支えゆっくり後ろの布団に倒せば、アッサリ倒れてくれた上に無防備に脚が開いたまま俺の身体の左右に伸びている。
眠いんだろう、遅めの瞬きで両手はシーツに投げ出されてるし遠慮なく脚触ってんのに抵抗もない。


「すげぇスベスベ。」

「……ふふ、……温泉はいったから、」


こりゃ俺が勝つな。
別に勝負してるわけじゃねぇしこいつは店から既に飲みまくってんだから勝ちと言う言い方も卑怯だが、酒飲んで俺より先に寝る事なんざ無ぇからレアだろこれ。


「可愛いの穿いてんねぇ? 今日は甘い系のピンクなんだ。」

「……、……ぅん………、」

「俺目ェ覚めて来ちゃったんだけど。」

「……」

「イタズラしちゃうよー。」

「……っ!……やだぁ、なにすんのへんたい。」


だって無防備に脚ちょっと開いたまま寝てるし?
可愛いパンツ見えちゃってんのに気にしねぇらしいから指でかるーく撫でただけ。
嫌がられたけどね、横向いて脚閉じちゃったし伸びて来た手で適当に着物を直された、それを邪魔して捲る俺に1度目を向けられたが何も言われず無視らしい、そして寝るのね。

横向いて軽く膝を曲げてるが着物だからな、綺麗な脚が簡単に拝めちまう。ふくらはぎからゆっくり手の平で撫でながら太腿まで来た時に、ふと顔を見上げればてっきり寝てるのかと思ったのに起きてるらしい、口許が笑ってる。


「なに、誕生日サービス?」

「ふふ、こんなのがサービスになるんだ?」

「なるよ。けどお前が居てくれるだけでもう十分だけどな。」

「……ふふ、酔ってるの?」

「さぁ、どうだろう。」


緩く笑った後に、伸ばされた手に誘われるまま身体を倒せば細い腕が首に絡んでくる。最初からだったわけじゃ勿論無ぇしキスするだけで呼吸困難みてぇに緊張してた時もあった、それが今は自ら腕を回し誘うように俺の名前を呼ぶんだ。未だに照れは残ってるものの離れた後に恥ずかしそうに笑う顔は寧ろイイと思う、可愛しな。


「銀さん、お誕生日おめでとう。」

「今年もお前らのお陰で最高の誕生日だったわ、どうもな。」

「良かった、愛されてる証拠だね。」

「お前も入ってる?」

「勿論だよ、銀さんの全部が大好き。」


横に転がりながらそう囁かれるとまた触れたくなって困るけど我慢もしねぇで重ねれば「何回するつもりなの」と笑う顔に限度なんざ無ぇんだと分からせてやりたくもなる。

後1回なんざ口だけだし、もうちょっとなんてのも適当に言ってるだけ、俺の全部が大好きなんだろ? なら受け止めてくれや。







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