トリップ続編 | ナノ
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家に帰ればやっぱり心配された、両手に包帯巻いてるんだからそりゃ気になるよね。事情をざっくりと説明し怒ってくれた神楽ちゃんと宥め、お風呂の前に外した包帯を寝る前に銀さんが巻き直してくれた。けど、無言だ、……


「……怒ってる?」

「少しな」

「……、ごめんね、もっと強かったら怪我しなくても済んだかもしれないけど、絶対負けたく無かったから、勝つ為に怪我は諦めた。」

「そうか」

「……怪我したの怒ってるんじゃない?」

「手の平にこんな痕付く程強く握ってたんだから負けたくなかったって事くれぇ分かる。手の甲はお前のせいじゃ無ぇしな、そう分かってても傷だらけになる程無茶されちゃ気になんの。怒るつーより、悲しい。痛かったろ、こんな赤くなるまで打たれて。」


山崎さんが言ってた事と同じだ、こんなにツラそうな顔して悲しんでくれる人が居るよ。


「……手を守れないのは、侍的に失格……? いや、私侍じゃないんだけどね。」

「いいや? 自分の守りてぇモン優先させた結果だろ、頑張ったよお前は、痛いのにそれでも竹刀握り続けて手ェ打たれても離さなかったんだ、痣作って稽古通ってた賜物じゃん。」

「……うん、ありがとう。」


多分あの人も本気では無かったと思う、私は女だし多少は手加減してたんじゃないかな。


手当てを終え正面に座ってる銀さんの首に腕を回して抱き付けば、背中に腕を回してぎゅっと抱き締め返してくれる。ここは私の癒し、何があってもやっぱりここが良い、くっついてるだけで幸せなんだもん、私が弱い事なんて、ちっぽっけな事。


「にしても結構冷静だったのな、言葉で誘導して竹刀握らせたんだろ? しかも勝つ為にやったんだ。」

「うん、勝手に沖田くんの看板背負ったの。でも結局ただ見せ付けたかっただけなんだよね、ド素人の私がここまで成長するほど真剣にお稽古してくれてるって。」

「ふーん。俺の事言ってた奴には殴らせてムショ送りにしたのにな。」

「銀さんだと頭より先に体が動いちゃうんだよね、ちゃんと考えたらもっと良い方法あったかも知れないのに。」

「身体が勝手にあんな怖ェ事すんだ、お前キレると自分どうでも良くなるタイプか。あん時斬られても良かったっつってたし、怒ってる程度でこれならキレたらマジで斬られても突っ込んで行きそう。」

「……私、頭おかしいのかな。」

「誰だって自分の大事なモン傷付けられたら腹立つし場合によっちゃ許せねぇよ、悪く言われりゃ黙ってられねぇつーのも分かる。ただ大半の人間は悔しいって思うだけで何もしねんだよ、お前は黙ってられねぇ方だから俺が心配するってだけ。別におかしいわけじゃねぇよ。」


何もしなかったら、また聞こえてくるかもしれない。

私じゃない誰かの耳に入るかもしれない、それはもしかしたら本人かもしれない……今思えばそう言う事も考えなかったな。

ただ私が許せなかった、聞かなかった事には出来なくて、でも一番良い方法は何だろうって考えたつもりだったけど結局銀さんを悲しませてしまった。


「……大半に入らないのはおかしいからじゃないの?」

「屯所内で隊長の悪口言ってる方がおかしいだろ。 聞いたのが例えばジミーだったとしても何かしら折檻すんじゃねぇの、たまたま聞いてたのかお前だったつーだけだろ。俺はお前の行動を心配してんじゃねーの、ちったァ自分も大事にしろっつってんの。」

「……でも手を庇ったら負けちゃうかもしれなくて……」

「ま、しゃーねぇよな。だから今回はもう良いから、怪我したら俺が心配するって覚えといて。それでも譲れねぇ事ならしゃーねぇよ。心配されるなーって思いながら帰っといで。」

「……うん、ありがと。銀さんを悪く言う人が居たら、私が何度でもやっつけてあげるからね。」

「いや何も分かってねぇよ、何処のスーパーマン? 」


冗談っぽく笑っておいたけど、神楽ちゃんや新八くんでも同じく怒ると思うよ。近藤さんの悪口聞いたら沖田くんも怒るし、神楽ちゃんと新八くんの悪口聞いたら銀さんだって怒る。そう言う事だよね?

要するに、無鉄砲じゃなくしっかり考えて行動する、自分を大事にしつつ苛立ちの憂さを晴らせば良いのね。


「……ん、……ん? 何かするの?」

「ちょっとイチャイチャするだけ、嫌だ?」

「んーん、やじゃない。」


背中にしっかり回る腕が温かくてピッタリくっついて会話してた。顔の直ぐ横にあったフワフワの髪が動き首筋に触れる唇の感触と熱い息も、ドキドキするけど嫌だなんて思わない。
だけど軽く浮いた自分の身体が引き寄せられたから多分乗っかれって事なんだろうと思い跨がるも、何処まで体重かけて座るものなのかと、これはいつも疑問に思う。


「別に重くねーから座んなよ」

「えっ、あ、ご、ごめんねっ、」

「何ごめんねって、つか何で緊張してんの?」

「えっ!」


心の準備を何もしていなかったから今日は何かする日だったんだねって思ってるだけだよ? 嫌とかそんなんじゃなくて、だいぶ慣れたけど未だにどうして良いか分からなくなるんだよね、自分が頑張るつもりで引っ付く時は心の準備は一応は万端だし銀さんも和ませながらしてくれるから大丈夫になったけど、急に始まるこの大人の空気的なものの対応が分からない。


「どうした? やっぱ疲れてる?」

「ううんっ!大丈夫っ、」

「なら何でそんな固くなってんのよ、大丈夫大丈夫怖くないよー。」


身体を少し離して顔を覗き込まれ、何故か挙動不審な私は銀さんの首から腕を離して自分の髪を触り出すし、なのに銀さんは優しく私の頭を撫でながらまた抱き締めてくれた。まるで子供をあやすように身体を前後に軽く揺らしながら。

こうやって直ぐ銀さんに甘えるからいつまで経っても慣れないんだよ、ちょっと首にちゅーされただけじゃん、いつもの事なんだから例え布団の上でも今が夜でも怖がったりしないでよ。どんだけ銀さんに甘えれば気が済むのかな。


「……銀さん、本当につまんなくないの、」

「全然? イチャイチャすんの楽しーじゃん。お前は楽しくねぇの?」

「私は楽しいけど、銀さん経験豊富だし、もっと楽しい事いっぱい知ってるんでしょ?」

「もっと楽しい事? 何だそれ、エロい事いっぱい知ってんのかって聞いてんの?」

「え!? べ、別にそうじゃないよ!」

「ならどう言う意味?」

「えっ!……え、」


……え、……そう言う意味だけど……、でもそんな改まって言われると思わず否定してしまった。
経験豊富な人が初心者に合わせるのはやっぱりつまらなかったりするじゃない、ほら、ゲームとか。だから不安になっちゃうんだよ、私不安だらけだよね、何もかも不安ばっかりじゃん。


「そんな不安そうな顔すんなよ、今日やっぱ元気無ぇな? 総一郎クンの事だけじゃねぇの?」

「え、……元気だよ?」

「なーんか良からぬスイッチ入っちゃってんのかねぇ、怪我の方ばっか目が行ってたけど大元は違う所ってか?」

「……分かんない、私、何が不安なのかも分かんない。気持ちが上がったり下がったりするし、頭の中ぐちゃぐちゃするし、ぐるぐるするし。」

「あー、そう言やそろそろ? その月によって体調違うもんなお前。」

「何の話?」

「アレだろ、女の子の日。」


………………え、……いや、まぁ、そろそろと言われたら、そう言えばそうだね。てか何で知ってるの? 同じ家に居るんだし気付くものなのかな、お腹痛い時は気付くだろうけど、そんな直ぐ連想されるものかな?

そもそも情緒不安定で片付けて良いものなのだろうか、気分的な問題じゃないと思うんだけど。もっとしっかり考えないといけない部分だよね、腰撫でなくて良いよ、まだ痛くも何とも無いし。


「おっぱいも張ってんじゃね?」

「えぇ、分かんないよ。」

「確かめてみる?」

「やだもぅ、何しようとしてるの。」


片手で腰を支えつつ反対の手がお腹側から服の中に入って来る、人が不安に押し潰されそうになってるのに何でこんな呑気な事始まるの。


「腰浮かせない、ちゃんと座って。」

「座らないよ、もう寝るんだもん。」

「不安なんじゃねーの、お前の知らねぇ経験を俺は知ってるから。それが不安だっつーならお前も少しずつ経験して知ってけば良いんじゃねぇの?」

「違うよ、そうじゃないの。経験豊富な銀さんと初心者の私じゃステージが違うから上級者にはつまらないだろうなって事なの。」

「俺の心配なんざ必要無ェつったろ、お前と居てつまらねぇと思った事も一度だって無ェし寧ろ何しよっかなってすげぇワクワクすんの。だからんな心配も不安も要らねぇよ、俺がつまんなそうな顔してお前見てたことあんの?」

「……無いけど、」

「ちょいちょいそれ不安になるよな、そんな気になるなら抱いてやろうか?」

「……え」

「俺は気長に待ってる気でいるしゆっくり戯れんの楽しんでるけど、経験無ぇとか気にすんならもしかしてそれが逆に不安なってんの? 経験しとく?」

「え、……ぁ、えと、……、え、……こ、今度に、する、」

「今度ね、分かった。じゃあ今日はもーちょいイチャ付いたら寝よっか。」

「う、うん、」


……びっくりした。そ、そ、そんな、抱いてやろうか、とか、言われると思わなかった……、だって、銀さん一度も無いよ、そう言う事しようとした事は一度もない。変態じゃないかと思うような事は多々あるのに、本気でそう言う事しようとした事無い、待ってくれてるのは分かってる、頑張らなきゃって思ってもいるけど、もしかして私は何処か他人事の様に思ってたのかもしれない。頑張ろうと思ってるつもりで、脱ぐの恥ずかしいとかそんな事ばかりじゃない?……私、……するんだ、いずれ銀さんと……、なんか、そう言う事を……?


「…………え、……わっ、ちょっ!」

「あ、起きてたの? 目ェ開けたまんま寝てんのかと思ったわ。」


ホック外されたんですけど!? ちょっと考え事してただけなのに凄い進んでた!いつの間にか首筋に銀さんの顔埋まってるし背中に直接触れてる手がホック外してきたよ、今更銀さんの肩押しても遅すぎる、どうすれば良いの!? てか何するの!?!?


「ぅ、……ぎ、銀さん銀さんっ!」

「なに? 銀さん目の前に居んじゃん。」

「っ、ふ、……ぅ、……、勝手に触った……っ!」

「いや俺聞いたからね? ホックも外すっつったし。」

「え!? 嘘!」

「ウソじゃねぇよ、お前人形みたいに動かなくなったら先始めといた。」

「先始めないでよぉっ、……ぅ、待って、前から恥ずかし、っ、」

「まだ服の上からじゃん、つーか俺の手退かすより自分の顔隠すんだ? 本気で嫌がりゃ止めてやんのに。」


嫌がる以前に頭が付いて行かないんだよっ! 怖いと思う暇すらない、それとも怖がらないようにしてくれてるの? それも分からないから絶対変な顔してるだろうし手の甲で顔隠して片手は銀さんの肩に置いてる。
服の上からって言ったって下着ずらしてるじゃんか、もう直接と変わんないよこれ。
逃げる身体は腰にある手に引き寄せられ、首に触れてた唇が舌に変わった、肌をなぞるようにゆっくりと濡れる肌が空気に触れて少しひんやりする。


「っ、ん、……っ、ぅ、」

「やっぱちょっと張ってんね、痛くねぇ?」

「ん、ったくないから、あんまこっち見ないでっ、」

「バカだねぇ、そーやって隠されっと益々見たくなんだろ。」

「ぜっ、たぃ、ダメだからねっ、」

「えー、じゃあ無防備の耳でも食べちゃおっかなー。」

「っ! ダメっ、!」

「あ、顔見えちった。」


どうして銀さんはこんなに余裕で楽しんでるのに私はいっぱいいっぱいなの、不公平だよ。

耳の縁を舐められたから慌てて顔から手を離し耳を隠したら、私の行動が読めていたのか真っ正面に銀さんの顔があった。目を開けたら直ぐに視線が重なり可笑しそうに笑ってるし、私が文句を言う前に頬を唇ではむはむして来るし


「、……も、ほんと狡い銀さん。」

「んー?」

「っ、…………、うぅ!」

「なーに唸ってんの。」


唇だけで頬に触れ、小さなリップ音を響かせてはまた唇を沿わせ少しずつ移動しながら顎から喉に下りて行く。
分かってる癖に意地悪い、だって笑ってるもん。今笑い声が喉に触れたもん。


「……ん、……っ、銀さ、したくないの、……?」

「してぇに決まってんだろ、おねだりされんの待ってんの。だから早くしてくんねぇ?」

「…………じゃ、勝負しよ。」

「勝負?」

「先にしたら負けね」

「そうやって俺からさせようってんだろ、してやるから素直に言えよ。」

「先にしたら負け、良い?」

「わーったよ、かかって来いや耐えてやらぁ。」


両手とも腰に回って私の要望を叶えてくれる銀さん、ちょっとムッとしてる顔を両手で引き寄せ唇ギリギリで止まれば予想してたのか、じっと私の目を見つめて来る。


「キスして?」

「……は、…………先にした方が負け、ね。」

「銀さんがしてくれたら私の勝ちだね。」

「おねだり無視してまで勝ちたかねぇわ、負けで良い。」


カプリと唇で覆われたら直ぐに耳が熱くなるの何とかならないのかな。背中から離れた手に顎を持ち上げられて食べられた唇に沿わせなから離れた温もりが、ちゅ、と自分の唇からも音が響いて余計恥ずかしい。
だけどしっかり食まれたのは最初だけで再び重なった唇は一瞬触れるだけで距離が出来、また直ぐに重なる。

ただ軽く触れるだけの温もりを唇に繰り返し、時々唇の端に移動したり小さく啄む程度だったり、じゃれてるのかなって思えるキスが熱くなってた身体を少しずつ落ち着かせてくれた。多分わざとだよね?


「……ん、……ふふっ、」

「楽しそーね。」

「うん、銀さん負けたから遠慮してるの?」

「いや? おねだりされたから甘やかしてんの。」

「おねだりしたら甘やかしてくれるんだ?」

「そう。だから毎日しておいで。」

「毎日は良いや。」

「笑顔で否定するなよ……」


ちょっと悲しげに眉が下がり、それが可笑しくって笑いながら首に腕回して抱き付いたら銀さんの顔が私の首筋に埋まるように寄って来た。
まるで甘えてるような感じがしてフワフワの頭を撫でてたら手の平が胸に戻って来てホック外されていた事を思い出す、服の上からではあるけれど下着ずらして触られると全然違うんだってば。ほぼ撫でてるだけと言うか置いてるだけに近いけど触られてる感触がいつもより大きい。


「……ん、ぅ」

「あんま耳元でカワイー声出されっと銀さん反応しちゃうよ。」

「変態ぃ、……ゃっ、!」

「あー、無理。はい、おしまいね。」

「……」


器用にも背中に腕を回しホックを留めてくれて、終わりと言いながら私を離そうとする。
胴体掴んで脚から下ろそうとしてるのは分かるけど、それを拒否するかの如く首に回してる腕の力を込めると持ち上げるのを止め真横にある顔が少しこっちに向けられたのが分かる。


「どした?」

「……ちょっと待って……、」

「痛かった? 敏感なってんのかね。」

「……分かんない、けど、……すごい変な声出た、…」

「いや寧ろイイ声だったろ、腰に来る。」

「……はい?」


羞恥心と戦ってたのに聞こえた台詞の意味が分からな過ぎて顔を横に向けたら、ふっと笑いながら一瞬唇が重なり突然抱き上げられ身体が浮くから焦るけど、水飲みに行くかと言われたら自分の事だもん顔がさぞ赤いだろう事は分かってる。


「照れねぇ所と照れる所の差が激しいよな、俺いまいち掴めねんだけど触られて照れてんの? それとも自分の声に照れてんの?」

「……変な声出ちゃったから」

「因みに触られて照れてんなら可愛いヤツって思って終わるけど、自分の声に照れて抑えようとすんなら無理矢理でも聞きたくなっちゃう。」

「いや意地悪過ぎる。」


どうしてなの、優しい時はあんなにも優しいのにどうして突然意地悪なスイッチ入ってしまうんだろう。

私だって銀さんの意地悪スイッチが入るタイミングが掴めないからね、たけど銀さんは私が照れようが照れまいが楽しんでるじゃない、対して私は困ってるんだけど。

掴めないのはお互い様でも解せないよね。






意地悪されても楽しめないもの



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