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▼ やっぱり王道が一番



万事屋に着くと私を見るなり神楽ちゃんは走って来て思いっきりタックルする勢いで抱きついてきたものだから、踏ん張りが効かず後ろに倒れそうになったけど側に居た銀さんが支えてくれたので無事ですんだ

「名前!!心配したアル!!」

「名前さん!無事だったんですね、本当に良かった!」

「2人とも心配かけちゃって本当にごめんね、あと、心配してくれてありがとう!」

笑って言うと2人は安心したように笑ってくれた


ご飯を食べながらさっきの事を2人に話した

「沖田さんに会ったんですか?」

「テロ予告あったらしく立ち入り禁止にしてたんだと。」

「あのサド!名前に刀向けるなんて次会ったらボコボコにしてやるネ!!」

刀向けられて無いし大丈夫、と物騒な事を言っている神楽ちゃんを宥めておいた

サドって栗髪の人の事だよね?

「でも危なかったですね、銀さんが着くのが遅かったらどうなってたか。」

「……そんなに怖い人だったの?あの栗髪の人って。」

聞けばあの人は真選組一番隊隊長の沖田総悟さんという人で刀の腕がめちゃめちゃ強いらしい

そりゃ危なかった。
刀なんて向けられたら私一瞬で死んでたわ

「でも若いのにそんなに強いんだ、隊長とか凄いね。」

「まぁ腕は立つからなぁ、でも俺の方が強ぇけど。」

「はいはい。」

「冷て−なぁ名前ちゃん、折角銀さん汗だくになりながら探しに行ってやったのに−」

「ごめんね−ありがと−」

雑!! と怒っている銀さんを無視して食べ終わった食器を片付けた

だってしつこいんだもん
もう散々謝るなって言われたし
それに冗談で言ってるのは分かってる
恩着せがましく言ってるわけじゃない
だから無視で

新八くんが帰った後、神楽ちゃんはお風呂上がりの濡れた髪を乾かして欲しいとドライヤーを持ってきた
可愛いなぁと思いながらゆっくり髪を撫でるように乾かしていると突然神楽ちゃんの体がグラッと後ろに居た私に傾いたので抱き止めた

「あ?寝たか?」

「そうみたい」

近くに居た銀さんが神楽ちゃんを覗き込むとスヤスヤ眠ってしまっている

「心配して疲れたんだろ、運んで来るわ。」

そう言って銀さんは神楽ちゃんを抱えて押し入れに向かった

ほんと悪い事しちゃったな

ドライヤーを片付けて明日の朝御飯の準備をする

居間に戻ると銀さんがソファーで寝ようとしていた

「ねぇ銀さん、今日は銀さんが布団で寝て? 私昨日布団借りたからソファーで寝る、交代にしよう?」

2日連続でソファーは疲れが取れないだろう
しかも今日は走り回って疲れてると思うし
交代なら納得してくれるだろうと思って言ったのに銀さんは頷いてはくれなかった

「そーゆう訳にはいかねーの。良いから布団で寝ろ。」

「いや私もそうゆう訳にはいかないんだって。銀さん沢山走って疲れてるでしょ?布団でちゃんと休んだ方が良いよ。それに私全然ソファーで寝れるよ? 自分の家でソファーで朝まで寝てる事あるし。」

「寝れる寝れねぇの問題じゃねーから、良いから寝ろって。」

「何も良くないって、銀さんが寝て。」

「しつけーなァ、なら一緒に寝っか?」

「そうゆうの今良いから。」


私は真面目に言ってるんだ
いつ戻れるか分からないけど、ここに居る間ずっと銀さんをソファーに寝かせる訳にはいかない
でも頑なにソファーを譲ってくれないし、どうしようかな


「寝袋とかも無いよね? 無いならいっそ毛布敷いて寝ようかな。」

「ねぇけど、どこで寝る気だよ。」

「寝室。銀さんは布団で寝て、私毛布敷いて寝るから。」

「なんで」

「何でって布団一組しか無いんでしょ? だから私毛布敷く。ソファーで寝ないから、それなら良いでしょ?」

「いや良くねーよ、ほぼ床じゃねぇか。つーか布団あるよ、二組。」

「え!?あるの!?」


布団二組あるの!?
じゃ何でソファーで寝てんの!?
てっきり一組しか無いのかと思ってたのに!


「あるなら問題無いじゃん、どこにあるの?私敷いてくる。」

「敷くってどこに。ここに敷いたら朝片付けんの面倒だろ。」

「なんでここに敷くの、寝室に敷いてくるの。寝室の押し入れに入ってる?開けても良い?」

「……は?いやお前何言ってんの?」

え?そんなに押し入れ開けたら駄目なの?
なら開けないから自分で敷いてとお願いすると、そうじゃねぇと言われる

「お前バカなの? 仲良く布団並べて寝るつもり?」

「バカって……。普通に並べれば良いじゃん、そんなぴったりくっ付けようとしてる訳じゃないよ。」

「そうじゃねぇっつ−の、何なのお前。」

はぁと手で顔を覆いため息をつかれた

何なの……

「……私と同じ部屋なのが嫌なの?」

「はぁ? 何でそうなんだよ。逆だろ−がどう考えても、お前俺と同じ部屋で寝るってことだぞ?」

「そうだよ。」

「そうだよって……、危ねぇとか思わねぇのかよ。」


あぁ、そうゆう事か

「思わないよ。だって私、万事屋ファミリーだもん。家族と一緒の部屋で寝て危ないなんて思わないでしょ?」

ね?と言うと銀さんは目を大きく開けた後、頭をガシガシ掻いて 「イビキうるせぇとか後で文句言うなよ」と私の頭にくしゃっと手をやり寝室に向かった


元々銀さんが使っていた布団を返して私が予備の布団を使う事にした
多分帰る手掛かりは布団には無いと思うから
昨日寝る前にあちこち触ってみたし、銀さんもずっと使ってる布団だって言ってた

寝てる間に戻るなら帰ったって思って貰えるだろうけど、出掛けてる最中だったら今日みたいに心配かけちゃうだろうし申し訳ないな

「ねぇ、銀さん。今日私が居なくなったとき元の世界に戻ったかもって思わなかったの?」

シーツを敷きながら聞くと既に布団に入ろうとしている銀さんがこちらを向いた

「……思わなくもなかった。けど、ただの迷子かもしんねーだろ、実際迷子だったしよ。」

「……そっか。ありがとうね、もし出掛けてる最中に戻りそうだったら何とか頑張ってメッセージ残すね。」

「おー、そうしてくれや。」

「今日はほんとにありがとう。おやすみ銀さん。」

「……おやすみ」


自分で家族だから とは言ったものの男の人と同じ部屋で寝る事なんて無かったから眠れないかも、と思ったけど、全然そんなこと無くて私は直ぐ眠りについた

だから「マジか」って呟いた銀さんに気付かなかった










朝、銀さんを起こさないようにそっと部屋を出て朝食を作った
3人でテーブルを囲むも銀さんは全然起きて来ず、新八くんが呼びに行くも直ぐ戻ってきて、先に食べてましょうって事で3人で食べた

「あ、そうだここって図書館とかあるの? 」

「図書館ですか? ありますよ、戻る方法調べるんですか?」

「そうそう、出来ることはしようと思って。」

「なら後で一緒に行きましょう、僕も手伝います!」

「私も手伝うアルよ−!」

「ありがとう! でも依頼来ないかな? 」

「それは来てほしいですけど、どうでしょう……」

新八くんが遠い目をした時、寝室から銀さんが起きてきた

「あ、銀さん起きた? おはよう、ご飯温めてくる。」

「……はよ」

銀さんに挨拶をし、台所に向かった




「銀さん、名前さんと寝室で寝たんですね」

「名前に手出したらブッ飛ばすアルよ。」

「出すわけねーだろ、普通に寝てたっつーの。」

「いや隈凄いんですけど、起こしに行ったけど止めて戻りましたもん」




「おまたせ、はいご飯。」

会話しているテーブルに戻り温め直した朝食を銀さんの前に置いた

「あれ?銀さん顔色良くないね、眠れなかった?私イビキとかかいてた?」

「いんや、スゲー静かに寝てたよ。朝までずっと。」

「そっか、なら良かった。」


朝まで起きてたんですか、という新八くんの小さな声は私には届かず、朝食を再開する

「あっ銀さん、さっき名前さんと話してたんですけど後で図書館に行ってきますね、戻る方法調べて来ます。」

「おー、俺も用あるし出る。 こいつから絶対目ぇ離すなよ。」

「だ、大丈夫だよ!もう大丈夫!」

必死に大丈夫と言うも新八くんに、ちゃんと見てますと言われ何も言えなくなった









「何も手掛かり無かったですね。」

「そうだねぇ、でもまだ全部調べた訳じゃないから明日も来てみる。2人とも付き合ってくれてありがとうね!」

「また手伝うアルよ−!」

「ありがとう!」

図書館での収穫は何もなく3人で万事屋へと歩いていた

「あ、銀さん」

横から銀さんが歩いてきてそれに加わる

「銀さんどこ行ってたんですか?」

「またパチンコアルか」

「ちげーよ、つか行く金ねぇから。」

「いや本当に、お金ヤバいですよ銀さん。依頼全然来ないし。」

「あー、……今日はババァんとこで食うか。」

ババァ?と聞く私に、下のスナックで働いていて万事屋の大屋さんだと教えてくれた

お金が無いときにツケで食べさせて貰っているらしい

それ、私行っても良いのかな……
私本当に早く帰らなきゃ、この人達からご飯取ってるワケだし
何とかしなきゃなぁと考えていると万事屋に着いて、下のスナックに入る

「ババァ−飯食わしてくれや」

「はぁ?またかいあんた達、家賃も払わないで良くのうのうと来れたもんだね。」

お店に入ると少し怖そうな女将さん
開店前みたいで人は誰も居なかった

「誰だいその子は。見ない顔だね。」

「あっ、あの初めまして、名前と申します! 訳あって今万事屋さんでお世話になっています、すみません大屋さんに伝えず勝手に居座ってしまってまして……っ!」

必死で自己紹介していると突然後ろから銀さんが頭に手を置き、ぐんと下に顔を向かされた

何!?と思っていると下を向かされたまま頭の上で銀さんが喋る

「新しく入った万事屋メンバーの名前ちゃんで−す。はい挨拶は−?」

「えっと、よ、よろしくお願いします。」

「って事で歓迎会な。」

え?と言う私の頭に置いたままだった手をポンポンと数回落とし銀さんはカウンターに歩いた

「さ、行きましょう名前さん。昨日言ったでしょう銀さん分かりにくいって。」


心配……してくれてるんだ
早く戻らないとって思うのに戻る方法は分からないし
家族って言ってくれたの嬉しかったけど、やっぱり気を使ってしまっていた

新八くんに促されてカウンターに座ると大屋さん兼女将さんがお登勢さんと言う名前だと自己紹介してくれた

「まぁ、そう言う事なら奢ってやらないことも無いよ。好きに食べな。」

ふっと笑ったお登勢さんに何だか泣きそうになってご厚意に甘え食べさせて貰う事にした

隣を見ると銀さんは既にお酒を飲んでいて、神楽ちゃんは山盛りのご飯に食らい付いている
その山盛り加減に目を奪われていると視界に1人女性?が目に入った


猫耳!?
え!?猫耳!?本物!?

猫耳に釘付けになっている私に気付いたのか銀さんも振り返る

「……お前、獣耳好きなの? あれは猫耳なんて可愛いもんじゃねぇぞ、妖怪だ。」

「ダレガヨウカイデスカ、テンパヤロウ」

こちらに近付いて来る猫耳の人
やっぱり本物!?
本物の耳!?

「え、それ本物ですか? 本物の猫耳ですか?感覚あります?動きます?」

「おいおい名前ちゃん食い付き過ぎだろ、どうしたよ突然。顔面見えてねぇの?」

「触りたい」

「無視ィィィィィ!? 名前ちゃん?無視なの?? 銀さん泣いちゃうよ? つかちゃんと見ろって顔面!何触りたいとか言ってんの!?」

「オイ イイカゲンニシロヨ テンパ」

まさか本物の猫耳に会えるなんて思わなかった、銀さんが隣で何か叫んでるけど聞こえない。私の目には猫耳しか入っていない

動きますか?と再度聞いた私に

「アタリマエデス」と答えて 片耳だけパタンと落としてくれた
ウインクも添えて

「!?!? すごっ! 凄いね銀さん!!耳!可愛い耳!!!!」

気持ちわり−もん見せんじゃねぇよ!!!!
と怒鳴ってる銀さんの腕を興奮しながら揺すった

「お前も何興奮してんの!? どこに興奮する要素あった!? 耳以外見えてねぇの!?」

散々耳を動かして貰って少し触らせても貰えて満足した頃
神楽ちゃんにおかわりを注文されて猫耳さんは去って行った

「うっ……はぁ、幸せ。猫耳可愛い。本物だった。やっぱり猫耳が王道で最高だね。」

ね?と銀さんの方を向くと若干引きつった顔をしていた

「良くあれに触れんな。スゲーよお前、ほんと感心するわ。」

「何に付いてたって猫耳は猫耳だよ。しかも本物、可愛い。また触りたい」

「お前今サラッとひでぇ事言ったぞ?」

「銀さんだって猫耳好きでしょ? 」

「まぁ好きだけど。でも付いてりゃ良いってもんじゃねーだろ、俺ァ本体が良くなきゃ興奮出来ねぇ。」

「えー勿体ない。私あれ欲しい、付けたい。」

ブッと飲んでたお酒を突然噴き出した銀さんに驚いて手拭きをあげた

「え、どうしたの突然。大丈夫? 」

「いやいや、お前こそ本当どうした!? 大人しそうな顔して猫耳プレイとかしちゃうワケ!? 銀さん許さねぇからな!自分をもっと大切にしなさい!!」

「何言ってるの?」

ギャーギャー騒ぐ銀さんを無視してお登勢さんに貰ったお茶漬けを食べる

可愛いかったな耳、自分の頭に付いてたら触り倒すのに。
この世界は猫耳付いてる人が居るんだなぁ
素晴らしい世界

私はこの感動を一生忘れないと思う



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