月曜日の日常
目を開けると眩しい光が目に差込み、ほぼ無意識に目をこすった。
ああ、もう朝がきたのかとわかりあくび一つしながら身体を起こす。

隣で丸まりながら気持ちよく寝入っている渚くんを起こさないように布団からでてリビングへと向かう。

ドアをあけるとふわりと美味しそうな何か焼けるような甘い匂いが鼻をかすめる。


「おはよ、カヲル。」

「おはよ。早いんだね。」

「そっちこそ。まさか朝ごはん作ってるとは思わなかった。」

「今日は週の初めだからね。気合を入れたほうがいいだろう?」


喋りながら椅子に座ると前にあるテーブルに、ことりと皿が置かれた。
先程香っていた匂いの正体はこのパンケーキだったようだ。

パンケーキの横には生クリームがちょこんと乗っていて、その上にはチョコソースがかかっている。うちにこんなおしゃれなものあっただろうか。
温かそうなパンケーキは匂いが本当に美味しそうに香ってくるものだから早く切り分けて口に入れたいくらいだ。


「気合入れたくないよね。どうも乗らないというかなんというか。」

「はは、リリンは月曜日が苦手だと聞いたよ。」

「……え、カヲルは苦手じゃないの?」


思わず食べようとしていた手が止まってしまった。
人間の身体になっているし、誰だって休みの次の日は辛いだろう。

けれどカヲルの顔を見てもニコニコと微笑みを絶やさず「何で?」という感じでこちらをみている。


「今初めてカヲルが使徒だということを認識したわ。」

「どういう理由でだい、それ。さ、パンケーキ冷めちゃうから早く食べなよ。」

「おっと、そうだった。いただきます。」


切り分けていたパンケーキを口に含むと爽やかな甘味だった。
甘すぎでなく、そしてパサパサとしていない……。
これは何か隠し味を入れたな?


「チーズ、かヨーグルト。数滴のレモン汁?」

「さすがだね!」


どうやら全部当たっていたらしい。
これは確かに朝からパクパクと食べれそうだ。

二口目を入れるとドアが開く。
目をこすりながら入ってきたのは渚くんだ。どうやら今起きたらしい。
時計を見てみるとご飯を食べて学校に行くのにはちょうどいい時間だった。


「ほら、カヲル、席について。」

「おはよ。」

「おはよ、渚くん。あとでその髪型を直そうか。すごい髪型になってるよ。」


こちらも渚くんが座った瞬間に目の前にパンケーキがのった皿を置かれる。
それをみた渚くんはもう私の声など聞こえていないのかパンケーキを身を乗り出しながらみている。


「マーガリンは?」

「既に味がついているよ。食べてご覧?」


渡されたフォークを握り締めパンケーキに刺すとそれをそのまま口に持っていく。
子供か、とツッコミを入れようかと思ったけれど、そうだ子供だった。

うまいうまいと言わんばかりに口に頬張ってリスのような頬袋が出来上がっていた。


「グーテンモルゲン!野郎ども!起きてるかしら!っていいもの食べてるじゃない!」


ばぁん、と大きい音を立ててドアが開かれた。……アスカ、もうちょっとおしとやかにはいってこれないのかしら。

女子にしては大股でずかずかとこちらまで歩んできて私の前でピタリと止まる。


「あ。」

「ん?……ああ、はい、あーん。」


大きく口を開けて待っていたことに少し「なにやってんのこの子」と思ったけれど、少しだけ照れた頬をしていたので気づいた。

……可愛いんだから、もう!


「餌付けかな?」

「餌付けだね。」

「もぐ、うっさい!……そしてこれ美味しいわね……。」

「カヲルの手作り。母、僕も。」

「はいはい、あーん。」

「じゃあ僕も。」

「カヲルは生クリームあげる。」

「むぐ。」


そしてそういえば時間は大丈夫だろうか、とふと気になり時計を見ると
もう出ないと遅刻ギリギリの時間になっていた。


「!!!急いで食べて!!もう時間が!」

「げっ!やっば!」

「母、僕髪が……。」

「行きながら直すよ!さあ、出た出た!」

「ちょっとカミサマだったらなんとかならないの?!月曜日なくすとか!」

「月曜日を無くしても第二、第三の月曜日がやってくるわよ。」

「ぎゃー!!それヤなんですけれど!!!」


そんなこんなで私たちの今日もやってきたいつもの月曜日が始まる。


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いつも以上にグダグダ日常!()


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