お題 | ナノ


  居眠り


すーっと長い息を吐く音が聞こえた。
見ていた雑誌から目を放し後ろを向くと案の定、彼女は眠っていた。

任務の終わりが朝方になり、帰ってきてそのままベッドに向かうかと思いきや何故か雑誌を見ていた僕の隣に座った。
どうやら無意識に僕の隣に座ったらしく目は半分しか空いておらず、
どうも僕の存在には気づいていないらしい。

ソファから降りてフローリングに腰掛けるとばたりと音を立てて横になった。

少し驚きながら彼女を見ると、ばちりと目が合い少しだけ微笑み「ただいま」と言った。


「おかえりなさい。名前さん。ベッドに行かなくていいんですか?そのまま寝そうですけれど……。」

「んーん、いい。起きとくし。まだ、……着替えてない。」


家にいるときだけ、僕と一緒にいるとき限定の甘ったるい声に思わず頬が緩みそうになる。
ああ、こういうところが僕の心をくすぐるんだ。……絶対に口には出さないけれどね。


「まあ、今日が任務休みならいいんですが……。」

「ん。」


彼女から目線をそらし雑誌の続きを読み出して数分で寝息が聞こえてきた。という感じだ。

もちろん寝せていたいというのもあるけれど、今日休みをとるために名前さんは昨日頑張ったんだ。
このまま寝ると夜になってしまいそうだし、お昼頃に声をかけよう。
今日は二人で出かける予定を組んでいるんだから。


「僕だってこれでも、楽しみにしているんですからね。」


顔にかかっている髪をあげておでこをだすといつもよりも幼い顔。
触っても起きないので手を滑らせて頬を触る。

……ああ、なんだっけ。こういう感情は。
リリンはこういうときキスがしたいというのだろうか。

顔を覗き込むように自分の顔を近づけて唇を重ねる……と思ったけれど、なんだか名前さんに負けたみたいでやっぱりやめた。


「ふ……、無防備とは……、僕もまだまだ男としては見られてないのかなァ。」


名前さんを抱き上げベッドへと運ぶ。少し軽くなったかもしれない。
首の後ろを支えながら枕へと頭をおき、身体も横にさせると安心しきったような顔で布団を抱きしめた。


「僕の負けで、いいか。」


頬に軽く唇を押し当て、確認するために名前さんを見てみるけれどやっぱり眠ったままで。


「おやすみなさい。」


数時間ですが、ゆっくり休まれて下さいね。
そう思いながら僕はドアをしめた。


(聞いてカヲルくん!私いつの間にかベッドで寝てた!すごくない!?)
(着替えもやってればよかった。)
(なんの話?!)
(はいはい、いいからご飯作ったんで食べますよ。ほら、顔洗ってきて。ご飯食べたらすぐ出るよ。)
(はーい。)



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