▽ 25
意識が浮上すると共に何かが頭の上に乗っていた。
カヲルくんかな……最近、彼に子供扱いをされている気がする。
まあ、そもそも彼からしたらあまり大人には見えてはないんだろうけれど。
動いたら手を止めてしまうかもしれない。
今何時だろう、もっとこの空気を味わっていたい。
まどろむ意識を彼の優しい手つきの手のひらに集中させる。
愛しさ、はないだろうけれど、好きという感情は私に向けてくれている。
いつか、私に好きという日がくるかもしれない。
「起きないんですか……?何、されてもいいんですか?」
掠れた、それでいて色気を含んだ声が上から落ちてくる。
中学生がなんて声を出しているんだ……!
きっと彼はベッドの縁に座ってるんだろう。
私は背を向けているので、どんな風な顔してなでているかわからない。
前に屈めば、きっと、頬にでもキス出来る。
ドキドキしていると布が擦れるような音がして彼が動いたのがわかった。
近づいてくる。そんな気配がする。徐々に、ゆっくり私を焦らすように。
かぷ
そんな擬音が似合いそうな噛み方だった。
私の耳の半分が彼の口の中に収まってしまった。
「〜〜〜ッ!!!」
「たぬき寝入りはいけませんね。危うく噛みちぎるところでしたよ。」
「いや!今のそんな猟奇的なところまで行ってたの?!」
自分の耳がカヲルくんに噛まれるなんて思ってもみなかったから
噛まれているということに気づき飛び起きたら彼はとびきりの笑顔をしていた。
「違うでしょ、もっとほら、アダルティな感じだったでしょ……今の……!」
「中学生に何をもとめているんだい、名前さんは。」
「そういう雰囲気を出したお前がいうか!」
「今日、僕、シンジくんのところに行ってくるよ。帰りがいつになるかわからないけれど……。部屋のものは好きに使っていいですから。」
「うん、了解。」
ふと彼の顔を見ると浮かない顔。珍しいその顔に、
私がいつも彼にしてもらっている元気になる魔法をかけよう。
そして、彼のふわふわとしたアッシュグレイの頭に手をのせてナデナデ。
「そんな顔していたらシンジくん、心配するよ。」
「そうですね……。ありがとうございます。」
カヲルくんは目を閉じてしばらく感触を楽しんでいたけれど、
立ち上がり、いってきます。と言ってきた。
初めての行ってきますにうれしくなって、いってらっしゃい、と自分でも思ってた以上に大きな声で返事を返してしまった。
カヲルくんは笑いながらドアへと向かっていった。
さて……、私も仕事にいく準備をしようかな。
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一つにとけあう。
一つになること。
とっても、きもちいいこと。
たましいは、ここにはない。
「サ、サルベージは成功なんてしていないわ。……これはミサト、貴方の力で奇跡をおこしたのよ。」
「奇跡でも悪魔の力でも、なんでもいいわよ……。シンジくんが、帰ってきたんだもの……!」
さようなら、母さん。
さようなら、………。
また、いつか。
また、いつか。
また、あえるよね。
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「肉体は溶け切ったか。あるいは、融合したか。」
「しかしながら、魂を回収はできたのは幸運だった。」
「それも奴が望んだことか。」
「特異点もシナリオの一部という事を自覚しているのだ。エヴァシリーズも、あ奴のおかげで完成した。」
「残りの使徒はどうする。」
「終結には関わりのないものだ。既にピリオドは一歩先にきているのだ。構わん。」
「碇の息子を助けだし、融合したのは痛い誤算だがな。」
「さらに1番目の少女…、二番目の少女もいる。これもどうするか。」
「タブリス。」
「……大丈夫、わかっているよ。僕の役目はここからだ。まずは障害になる監視役の排除を。」