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ハザマとであった翌日……今日は姫の16歳の誕生日だ。
毎年プレゼントを買うわけでもなく、ただ何時間も姫の墓前の前に座る。

だが、今年はいつもと違う。


「姫を生き返らせてやる、か。」


そんなこと、望んではいけないと分かっているのに…この言葉が頭から離れない。

「よりにもよってどうして姫の命日の日に……っ!」

あれ以降はどんなに頑張ってもハザマの気配を感じることが出来なかった。
そもそも、何者かすらも分かっていない。

第一、本当に姫が生き返るかなんて分からないのに……
踊らされてるだけなんじゃないのか、俺は。



「でも、」


もし、本当に姫が生き返るのだとしたら………



「姫、会いたい。」


『本心が出たな。』


バッ……

「ハザマ…っ。」

『貴様なら必ずその言葉を口にすると思っていた。貴様の望みどおり、この娘を蘇らせてやろう。』

「待て!おれはそんなこと望んでいない!…確かに姫には会いたい。
けど、得体の知れない奴にリスクもなしに蘇らせてやると言われて信じれるわけがない。」

もしもそれで死んでしまった姫に何かあったと思っただけで俺は自分が正気じゃいられなくなる。


『私は貴様の本心がそれを望み続ける限り何度でも現れる幻。
生き返らせた人間に何のリスクもない、…条件を守るのなら。
…それからもう一つ。これは忍術ではない、期限は今日までだ。
だが先ほども言ったが貴様の心にその思いがある限り期限が過ぎても俺は現れる。』

いきなり饒舌になったと思えば随分と言ってくれるな。
つまり俺の心が姫に会いたいと思い続ける限りこいつは俺の前に現れ続ける。
だけど生き返らせられる期限は今日まで…。

期限を過ぎてもなお現れる幻に耐えられなくなる前に自分に従えって言ってるのか?


「そんな話を信じろって言うのか。」

『信じる信じないは貴様しだい。会いたいのなら俺にそう願えばいい。
だが決して忘れるな、このキセキは一度きり。今日を逃せばこのキセキは貴様にはもうこない。』


元々死んだ人間に会えるってだけでもばかげてる。


でも―――……


「俺の本当の気持ち、まだ伝えてないんだよな。」

『それが貴様がこの娘に会いたい理由か。
その願い、俺が叶えてやろう。』



今度は……




何も言わなかった。




『今ここに時のハザマの力により姫を蘇らせん。時のハザマのキセキは一度きり。
改めて己の肝によく命じておけ。』

そういうとハザマは消えてしまった。



俺の手に一枚の紙を残して。

そこの書かれていたのはあいつが言っていた条件と……約束事。


「条件、一、生き返ったものは契約者(すなわち俺)以外にその姿を認識されてはいけない。
一、この世の者の未来を変える真似をしてはいけない。
一、以上の条件を破ったものは永遠に時のハザマに取り込まれ二度とこの世界に生まれ変わることが出来ない…!?」

つまり俺が気をつけていないと姫は永遠に時のハザマに取り込まれるって事かよ。


「約束事。今回の契約者との約束は"伝えられなかった思いを伝える"こと。
それが出来た時点でこのキセキは終わる…!!」

俺が姫に気持ちを伝えたらその時点で姫はまた消えるって事か!?

「…ハザマの奴…っ。」

それに、俺がたとえ姫に気持ちを伝えられたとしてもあいつの答えを聞くことは許されないってことじゃねぇか…!!


サク……

「ここ、どこー?」


突然、俺の後ろから女の子の声。


誰か、なんてのは確認しなくたって分かる。



なぜなら―――……



「……姫。」

「ぇ…うそ、ナルト?」



俺はずっとこの声の主に恋をしているのだから。







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