油断大敵。  



「本当にありがとうございました。」


夕方、無事にトトラさんを竹の国まで送り届けた私たち。


「ってかさ、サスケ。あの時森の中にいた敵、一人で倒したの?」

「ふん、たいしたことねぇよ。…怪我するなんてありえないな。」

嫌味を言うんじゃないよ!嫌味を。
ったく、足手まといがいたんだからしょうがないでしょ!!

「怪我の具合はどうだ?俺が小隊長の任務で大怪我なんて勘弁しろよ。」
「ん、大丈夫。たいしたことない「それが仲間に対する態度なのかよ、サスケェ!」


……はぁ、うるさいなぁ。
ちょっとは静かに喋るって事が出来ないわけ?この男は。


「うるさいわよ!サスケの言うとおり、あんな賊相手に怪我した私が悪いの!」

第一、私も医療忍術くらい使える。サクラみたいに専門として勉強しているわけではないけど
今回のような怪我なら楽に治せる。


「それに……っ、そんなこと言ってる場合じゃなさそうだしね。」

シュッ……ドスッ

「ったく、何で今日はこんなに賊ばっかり遭遇しちゃうのかな!?
トトラさんを送り届けた後でよかったねー。」

なんてのん気な事言ってるけど数多いな、これ。
多分30人はいるか?

「サスケ!」

「うるさい、分かってる。俺が前を切る。数も多いしな。ナルトは右、姫は左だ。」

「「了解。」」


ザ……


それぞれが指示されたほうに動き、森の中へ入る。

……サスケのほうに15人、ナルトに……8人くらい?


ってことは。


「私の相手は10人前後ってところね。」


……敵は今私の四方を取り囲んでいる。
まぁ、数が有利ならそれが定石よね。


ここはやっぱり水遁で……「感知が優れてるだけで注意力が散漫なんだな、お前。」


サク……カチ。

シュルルル…


しまったっ!これは敵の罠だ…っ。
さしずめ左に来た奴はここに誘い込まれるように上手く人を配置したのだろう…。
誘い込まれてる事に気付けよ自分!

くそっ、クナイの先に細いワイヤーを付けて私の手足の動きをとれなくしてるのかっ。
しかも結構食い込んでるし、クナイは木にしっかり刺さってて簡単には抜けそうにないな、コレ。


「あんたたち…賊の割りにやるじゃない。さしずめ抜け忍ってところかしら?」

「ほぅ…バカそうに見えて意外に鋭いのか。」

いや、ただのカンだよ。それに……忍特有の動き方してるし……こいつらバカだろ。

「それにしてもいい女だな、お前。金目のものは持ってなさそうだし……俺らの相手してもらうか。」


ははーん…まさかのそっち狙いってか?
にしてもマズイな、この状況。圧倒的に劣勢だ。
脚は地面についてるから……なんとかそこを利用して請け出さないと……。


グサッ


「うぐっ!!!」

「悪く思うなよ。身体をいただくのに縄ほどいて逃げられたらたまんないからな。」

くそぉ……地味にいてーよ!!

血も…結構でてるな。早く止血しないと…。



あ、ってかこの血使ってアイツ口寄せするか?

いや……でもアイツは――。


「仕方ない。口寄せの「何やってんだおめーはぁあ!!」



グソッ!!


「うわぁぁああ!」

ナルト!?何でここに……ってか、もう全員倒しちゃったの!?

「はぁ……はぁっ、まだまだぁ!」


バキィ!ザシュ……ドサッ



ス……


あれ?手が自由に動く……って


「サスケ!」

「たかが賊相手にそこまでやられるとはな。…やめたほうがいいんじゃねぇの、忍。」


ヒュ…

そんなことを言いながらクナイを投げ、最後の一人を華麗に倒す。


……やめたほうがいいんじゃねぇの、か。


「……ありがとね、サスケ、ナル「おめーは何やってんだってばよ!俺らが来なかったら今頃どうなってたと…っ。」

ビクゥッ!


び、びっくり。仲間が傷つけられると怒るのは知ってたけど……

まさかこんなに怒るとは…。


「いや…まだ最終兵器残ってたし…「そういう問題じゃねー!その足!!!この怪我でこの先一生忍として生きられなくなったらどうするつもりなんだよ!!」

…さすがにそこまでではないだろう。
止血しないでこのまま放置したら切断は免れないだろうけど。


とにかく今は血を止めるっ!


ブォオオオオオ……


「…つぅ。」


すげーいたいけど、我慢だ我慢。


「心配しすぎなんだよ。私はゴキブリ並の生命力と回復力があるし、簡単には死なない!」

「はぁ…とにかく急いで病院に行け。
ナルト、俺はこいつらから色々俺らを襲った理由を聞くから姫を連れて先に病院に行け。」

「分かってるってばよ。」


そういって私を抱えるナルト。


「ちょっ…まだ治療中…「今はお前の下手な止血より急いで病院にいって直してもらうことのが先だってばよ!」



あぁ、何かナルトに抱えられているからか。


人の温もりは安心するって本当なんだな……



ダメだ……意識が、遠の……く。



「姫!?くそっ…急ぐってばよ!」














*

ナルトside

あの後、特にまた襲われることなく要人警護の任務を終えた俺たち。


竹の国を出て暫くしてまた賊の気配…。
姫の感知ならもうすぐ気付くはず。


…さっきも感じた気配だ。なぜトトラといるときに襲ってこなかった?

俺たちに用があると考えていいだろうが……。



ほら、言ってる傍から姫が騒ぎ出す。


サスケの指示を受け、それぞれの配置につくが、俺はハズレくじを引いたらしい。
よりにもよって、一番的の人数が少ないのだ。


……まぁサスケはまず問題ないだろうが……姫のチャクラの乱れが激しい辺り、苦戦しているのだろう。


何でアイツは中忍になれたんだ?


めんどくさいので秒殺で敵を倒し姫の元へ。

おそらく敵に捕まっているだろうと思えば血の匂い。
俺は匂いで誰かの判断も出来ないし、嗅覚だってそんなに鋭いわけじゃないが……まず間違いなく姫のだろう。



案の定、ついてみればピンチだし、足から血は流れてるし……

めんどくさいけど助けてやるか。



……敵をあっさり倒した後、一応激昂しておく。

少なくとも、ここまで怒れば次からはバカみたいに突っ込んでいかないだろう。

表の姿の俺だって学習してバカみたいに突っ込まなくなって言ってる演技をしてるんだ。

……こいつだっておそらく………



いや、バカは何をしでかすか分からないからバカなんだったな。



とにかく、サスケに命令されたし、治療中とはいえ、早く病院に行くか。



「今はお前の下手な止血より、病院で早く治してもらうこののが先だってばよ!」

本来なら止血を行ったうえで病院にいくのが当たり前だ。

だかこの怪我で姫の今のチャクラ量と技術を見ても止血は間に合わない。



……ならやることは一つ。

サスケから離れて俺が止血をする。


幸い、人の体温に触れて安心したのか……血を流しすぎたか……姫の方から気を失ってくれた。



ソ……と、近くの草の上に寝かせ止血をする。

ブォオォオ…

俺もそこまで医療忍術は得意ではないが……



「この血をとめるくらいはできるか……?
とりあえず、簡易的な止血が出来次第、急いでもどらねぇとな。」



……よしっ、とりあえず今はこのくらいでいいだろう。



里の結界内まであとわずか……




「飛ばすからな。


……起きるなよ。」



そういって俺は暗部の任務の際と同じ速さで里まで行き、急いで病院まで姫を運んだ……。










.



  









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -