「アイシー、さっきからどうしたの?」私のベッドに寝転がって、クッションをもふもふとさせながらなまえがそう言った。どうしたのですって!悲しくなるのを必死にこらえて、私は「なんでもないわ」と笑った。しかしまあ、こんなときに限って、彼女はとても勘が良い。それを、もっと別のことに、たとえば私の気持ちに気づくとか、そういうことに使って欲しい気もする。 「もしかして、私がアイキューさんを好きなのがいや?」 「(いや!だなんていえるはずないじゃないの!)」 自分の気持ちにすなおになれたら、どんなによろこばしいだろう。けれど私は、そんなことできない。臆病者、と前にクララは私を罵ったけれど、それはひじょうに私の心に突き刺さる。だって、本当のことだもの。 「そんなわけないわ!むしろ、兄さんには勿体無いくらいよ!」 「勿体無いって、私が?」 「そう!」 「…アイシーが男の子だったら、惚れてたかもしれないな」 へへへ、と笑みをもらす彼女に私は思わず目を細めた。それなら、私が男になればこの子は振り向いてくれるの?…そうよね、だって私と兄さんは同じ血が通った兄妹だもの、その私が男の子になったら、そう、彼女は振り向いてくれる。 |