「アイシーちゃんのお兄さんかっこいいよねえ…」 「は?」 思わずジュースの入っているコップから口を離して怪訝そうな表情を浮かべる私に対して、なまえはにこにこと笑みを絶やさずに言った。「さっき私が転びそうになったとき助けてくれたんだー」。どこかドジな彼女のやりそうなことだ、と思いながら「あんなのかっこよくなんてないわよ」と反論する。 「えーどうして?」 「頭いいからってすぐ私を馬鹿にするし、洗濯物一緒にしちゃうし、うざいし」 「そうかなあ」 「そうよ!なまえにはあんなの似合わないわ!」 叫びにも似た主張に、彼女はふうんとストローに口をつけた。そう、あんな馬鹿兄貴この子には合わない。この子に合うのは、私!前からなまえのことずっと好きだった私が、あんながり勉兄さんに負けるなんてあってはならないわ!それなのに、続けて出た彼女の言葉に私は愕然とした。 「そうはいうけど、好きになっちゃったんだよねー」 「はあっ!?」 「もう名前も覚えてもらったの」 私の初恋のライバルはどうにも実の兄になりそうです。 |