変態注意報

薄い雲が青い空に流れていた。
穏やかな日差しにやわらかい風。
……絶好の昼寝日和だ。


「あ!シカマルさん、丁度いいところに!リン先生知らねー?」


絶好の昼寝日和と言えど、非番でもないのに昼寝なんてできるはずもない俺は、紙の束を抱えてぶらぶらと里内を歩いていた。
そこへ近頃見慣れた3人の子どもたちが走り寄ってきた。


「なんだ、お前たち一緒じゃないのか?俺もちょうどあいつを探してるとこだ」


あてが外れたな。こいつらと一緒だと思って、こいつらのいつもの集合場所に向かっていたのに。


「さっきまで一緒だったんだけど、なんでか急に走ってどっか行っちゃって」

と、不安げに言うのがくのいちのメル。

「てっきりシカマルさんの匂いでも察知したのかと思いましたが」

くい、と眼鏡を上げながら冷静にアホな分析をするのがコマ。そして、

「ったく、どこ行ったんだよなー。俺たち今から任務を受注しに行くとこだってのに」

そう言って不貞腐れているのがトラジ。
彼らはリンが現在、担当上忍を務めている下忍たちだ。



変態注意報
エピローグ side シカマル




三人とも見ての通りいつも自由すぎる担当上忍に手を焼きつつ、一人前の忍になるため日夜任務に励んでいる。
それぞれ三者三様、一見すればまとまりのないチームに見えるのだがその実、近頃はリンの世話役三人組としてなかなかのまとまりを見せているようだ。
いいことではあるんだが、こう……意図しない形でリンが求心力を持っているのは、いいんだかわるいんだかな。俺としては、彼らに苦労をかけていることに少し責任も感じる。


「いつもすまねーな。お前らがしっかりしてるおかげでリンも助かってるよ」

「しっかりしてるっていうか」

「しっかりせざるを得ないというか」

「なー」


ふむ。子どもの成長としてはなかなか正しい。ある意味リンは教育者として成功してると言えなくもないか。

リンに担当上忍になることを勧めたのは、今現在六代目火影でもあるカカシ先生だ。
その話をカカシ先生からされた当時、正直俺はリンに教育者なんて……と思ったが、意外にも本人は乗り気だった。そして今なお、下忍三人とおんぶにだっこな状態ではあるものの、それなりに楽しそうに先生業をしている。
予想外に適性があったんだろう。だけど受け持ちの下忍をほったらかしで、何も言わずにいなくなってしまうようなワンマンプレイ気質はいい加減卒業してもらわなきゃ困るというものだ。


「よし、とりあえず周辺を探してみるか」

「そういえばシカマルさんはリン先生に何の用?」

「あ?ああ……ちょっとした野暮用だ」

「メルさん、それこそ野暮ってやつですよ。シカマルさんとリン先生はラブラブだから、たとえ理由はなくとも一緒にいたいものなのです」

「いや、普通に理由あるっつの」

「別にイチャつくのはいいけど俺らが任務受けてからにしてくれよな」

「…………」


俺の名誉のために言うが、間違っても俺はこいつらの前でリンとイチャついた試しなんかない。
全てはリンの日頃の行いのせいだ。リンが普段から勝手に俺の話をしまくるもんだから、そのせいでこいつらは俺に対して食傷気味になっているんだろう。哀れな子どもたちだ。責められまい。


「リン先生〜どこ行っちゃったの〜」

「シカマルさんはここにいますよー!」

「ほら、シカマルさんももっとでけー声で先生のこと呼んで!シカマルさんの声が聞こえたら、先生飛んでくるはずだから!」


……帰りたくなってきたな。

とても担当上忍を探しているとは思えない、堂々とした迷子探しに涙を禁じ得ない。リンのやつは本当にこいつらに忍のなんたるかを教育しているんだろうか。心配だ。




「けどさー、今更だけどシカマルさんとリン先生の組み合わせって、すっげー意外だよな?」


担当上忍という名の迷子探しを続けること数分。トラジは早くもこの稼ぎにも何にもならないDランク任務もどきに飽き始めたらしい。
リンの名前を呼びかけることもなく、頭の後ろで手を組んでぶらぶらと歩く様はもはや家路に着く子どものようだった。


「たしかに……最初の頃はリン先生のこと、シカマルさんと付き合ってるっていう脳内設定で生きてるやばい人だと思ってたもん」

「ああ、ぼくもです。言動がすべてストーカーのそれですから、まさか本当に恋人だとは思いもしませんでした」

「お、おう……」


リンが慕われてないわけではないはずだが、子どもたちのあまりの辛辣さにはちょっと気持ちが竦んだ。
というかリンの奴は、そんなヤバい奴認定されるようなどんな言動をこの子達の前でしているんだ。自制心の欠片もないのか。

リンと付き合い初めてからもう数年になるが、リンの俺に対する態度はこれっぽっちも変わらない。
相変わらずところ構わず俺が好きだとアピールし、クソみたいな収集癖を発揮していたりする。
それでも、多少は大人になって落ち着きを見せるようになったとこもあるっていうのに。
よりにもよって受け持ち下忍の前でそんなに素を晒してどうする。なんなら一番かっこつけるとこだぞ。


「リン先生とシカマルさんは同期なんだっけ?アカデミーで知り合った感じ?」

「ああ」

「リン先生はもうその頃からシカマルさんのことが好きだったの?」

「そうだ」

「じゃあシカマルさんは?シカマルさんもその頃からリン先生が好きだったんですか?」

「は?俺は……」


まいったな。食傷気味かと思っていた子ども達は存外、俺側のエピソードには興味津々らしい。
俺はリンと違ってそういうのを語るのは得意じゃないし、できることなら避けたいものだが……この期待の目を早々に遮るのも気が引ける。
俺は少し息をついて、ふとアカデミーの頃の自分たちに思いを馳せた。

いつ頃からだったろうか。リンが俺を好きだと言い出したのは。
元々、俺たちに特に接点はなかった。せいぜいテストで赤点連発の落ちこぼれ組に、俺たち二人とも属していたぐらいだろうか。

思い出してみるに、その頃のリンは今のような明るい性格ではなかった気がする。
俺はちっとも気づいていなかったが、当時のリンの周囲には、リンを小柳の悲劇と嘲る声や視線が溢れていたのかもしれない。
体術や忍術は他の同期とは一線を画す実力があったのに、そんな才能はあったところが仕方ないと言わんばかりの様子で、いつもバツ印ばかりの答案用紙をぐしゃぐしゃに握りしめていたのをなんとなく覚えている。

俺はそんなリンを、体術も忍術も学術も、何もかも完璧に出来ないと納得できない主義の女なんだと思っていた。
贅沢だと思った。才能なんて、一つあれば恵まれた方だろうに。
もちろん今ならわかる。リンはすべてが欲しかったわけではないだろう。他の才よりもよっぽど、勉学の才が欲しかったんだ。小柳の一族として恥ずかしくない人間であるために。馬鹿だ悲劇だと嗤われないように。

だからリンが俺に勉強法や、どうすれば頭が良くなるのか、みたいなことを聞いてきたこともあった。
俺は適当な返事しかしなかった気がするが、その頃のやり取りの何かしらが、リンのどこかに刺さったのだろう。思うにあそこらへんからだ。
リンがおかしくなったのは。


「リンが俺に好きだなんだと言い出した時……俺は断じてあいつのことなんか好きじゃなかった」

「「「えっ」」」


思い出したらむかついてきた。
好きだったら何をしたっていいのか?と問いかけたいぐらい、いや、実際そう怒鳴りつけたこともあったぐらい、リンは最初からやりたい放題のフルスロットルだった。
四六時中付き纏われ、家に乗り込まれ、あらゆる場所で待ち伏せされ、あらゆる場所から私物は消え、部屋からは抜け毛まで消えた。
純粋な殺意が芽生えることはあれど、恋が芽生えることなんかあるはずがない。


「いや、けど実際芽生えてんじゃん……」

「それはそうだ」


何年も、本気でウザいと思っていた。なんで俺なんだよ、他の奴にしてくれと、正月の初詣では賽銭を奮発して神サマに願ったりした。
それが変わったのはいつからだったか。


「結局リン先生の何がいいわけ?」

「美人なところじゃないですか?」

「コマ、女は顔だけじゃねーぞ」

「やっぱりずっと好き好き言われてたらその気になっちゃうもんなのかしら」

「……まぁ……それ自体否定はしねぇが……」

「だから、じゃあどこに惚れたんだよ」

「そんなにわかんねーか?」

「は?」


俺にとっては、いつからだとはっきり言えるほどのきっかけがあったわけではないんだろう。
ただ関わりを増やし、会話を増やし、リンの人となりを知るほどに、ただ鬱陶しいだけの存在ではなくなっていった。


「お前らはリンが嫌いか?」

「え?別に、そんなことは……」

「私はリン先生のこと好き!普段はちょっと頼りないところもあるけど、任務の時はしっかりしてて強くてかっこいいし、私たちのこと絶対守ってくれるし」

「僕も先生のことは好きです。すごい人なのに偉ぶることも天狗になることもなく、何事においても努力を欠かさない姿勢にはいつも感銘を受けます。それに、実はかなり物知りなのも尊敬できます」

「な!そ、そんなの俺だって!……俺……小さい頃に母ちゃんも父ちゃんも死んじまって、そっからいろんな親戚の家をたらい回しにされたりして……大人はみんな冷たくて自分勝手で嫌いだと思ってたんだ。だからリン先生のことも、最初はかなり……」

「そうそう、トラジってば反抗ばっかりして全然先生の言うこと聞かなかったよね」

「わ、悪かったと思ってるよ……。そんなんだから学校の先生からはずっと、手をつけられない悪ガキ扱いされてたけど……リン先生は、そんな俺をずっと見捨てずにいてくれたんだ。大人たちを見返してやりたいって言えば、それまでは生意気だって言われて怒られたけど、リン先生は『じゃあそのためにもっと強くなろう』って。非番の日もいつも嫌な顔一つせず俺の修行に付き合ってくれてさ。だから……」

「うんうん、だからトラジさんはリン先生のことが大好きなんですよね」

「お、おい!そこまで言ってねーだろ!」


子どもたちの言葉に、まるで自分への賛辞を受けたかのように心が暖かくなった。


「よくわかってんじゃねーか。俺もお前たちとおんなじだ。あいつのいいところを“良い”と思った。そんで気がついたら惹かれていた。そういうごく自然なことなんだよ」


子どもたちは少し意外そうに目を瞬いたものの、そのうち「そっか」と腑に落ちたように笑った。
ただそれからしばらくすると、「でもやっぱりさ!」とトラジが声を上げた。


「やっぱり変じゃね!?リン先生はめっちゃ良い奴だけど、やっぱめっちゃ変だもん!抜け毛集めるって何!?きもいよ!」


くそ正直に、しかしあまりにも不思議そうに当然の疑問を叫ぶもんだから、つい腹がよじれそうになるぐらい笑ってしまった。
そうだよな、何はともあれやっぱ変だよな。


「よく言われるぜ。俺も相当変なんだって」


それこそ子どもたちは大いに納得したようだった。


◇◇◇


その後少しして、里中を駆け回っていたらしいリンとやっと合流した。


「ちょっとみんなー!勝手にいなくなんないでよね、探したよぉ」

「こっちの台詞だっつの」

「あれ!?シカマルがいる!なんでなんでー!?寂しくなっちゃった?私に会いたくなっちゃった?かーわーいーいー」

「うるせー俺は用事で来ただけだ。すぐ終わらせるつもりだったのに手間かけやがって」


そう、俺はリンの頭の中にある情報をちょっと拝借しに来ただけだ。
画的に視覚で得た情報を、文字だろうとなんだろうと、リンは頭の中で辞書を引くように探し出すことが出来る。かつてはそれが自在にはできなかったためにこの血継限界の力も宝の持ち腐れに近いものになっていたが、今の俺はリンのこの力に相当助けられている。


「ところでなんだよ、その猫」


リンはカリカリに細くなった、野良らしき猫を一匹抱えていた。
猫は今は大人しく抱えられているが、おそらくそいつとの攻防の末にできたものであろう細い引っかき傷がリンの腕や頬に浮かんでいるのを見るに、どうやら無理やり捕獲してきたらしい。


「あ、そうそう。みんな一年ぐらい前に、任務で短冊街よりも向こうの小さな町に行ったの覚えてる?ほら、みかんの木がたくさんあったとこ」

「ああ……みかんの収穫の手伝いに行ったんだっけ」

「そう!そこで私さ、電柱に迷子猫のポスター貼ってたのを見たの。この子!その猫!」

「ええ?」

「さっきたまたまそこで見つけてさー。慌てて追っかけたんだけどこの子があまりにもすばしっこくて、ちょっと苦戦しちゃった」

「冗談だろ?あんな遠くの町からここまで猫一匹で来れるわけねーじゃん」

「でもこの子だよ。あの写真よりも大分痩せちゃってるけど、模様も目の色もまったく一緒」

「だったら見間違い……は、ねーよな。リン先生、そういう記憶力いいし」


誰もそこら辺は疑わないみたいだ。たしかにリンに限って、見間違いはありえない。
で、だ。それがみかんの町の猫だったとして、捕まえたところで一体どうしようというのか。リンはあくまで迷子猫のポスターを見たというだけで、別に任務を受注したわけでもなんでもない。普通ならそもそも捕まえないだろう。ご近所さんの猫ならまだしも、何キロも離れた遠くの町の猫なんて。
でもリンは捕まえてしまった。そんなに暇な身分でもないはずなのに、相変わらず後先考えねーんだから。どうせここから野生に帰す選択肢なんてないんだろう。


「よ……よかったね猫ちゃん!一年ぶりに飼い主さんのところに戻れるよ!」

「そのポスターに名前は書いてましたか?家に帰るまでの間も、できたらその名前で呼んであげた方がいいかと」

「ったく、リン先生すぐそういうことするからなー。まーたタダ働きだぜー」


これから自分たちがどうなるのか、よく理解している子ども達の反応は頼もしいものだった。
リンの顔ににんまりとした笑みが浮かぶ。嬉しそうなリンを見ていると、自然と俺も口元が緩んだ。


「ということでシカマル……」

「わかったよ、すぐ出るんだろ。けど俺の用事を済ませてからだ。ちょっとこっち来い」


リンの手の中からひょいと猫を持ち上げて、そのままトラジに受け渡した。猫は納得いかなそうな顔をしつつも大人しかった。
子どもたちに「10分待ってろ」と声をかけ、リンを近くの建物の陰に連れていく。子どもたちはなんとなくリンの記憶力がいいことは知っているものの、血継限界についてまでは知らないからだ。



「……いい信頼関係が築けてるみたいだな、あいつらと」


そう言うと、リンは俺の頼んだ資料を次々と紙に念写しながらも薄らと微笑んだ。


「みんないい子たちだから」

「お前の指導がいいのもあるんだろ」

「そんなことないよ。私別に、なんてことは教えてないし」

「わざわざ教えなくとも、あいつらは小柳リンっていう忍を見てしっかり学んでるよ。仲間を思う気持ちや、努力の大切さ、他人を思いやる心。もちろん他にもいろいろ。……きっといい忍になる」

「……だったらそれは、シカマルのおかげだね」

「俺?」

「だって、私をそういう忍にしてくれたのはシカマルだから!」


眩しいぐらいの笑顔に、心臓がどきりと音を立てた。
リンは本当に何も変わらない。いつまでも全身で俺が好きだと表現して、瞳には俺が愛しいとわかりやすく書いている。
でも変わらないのは俺も同じだ。いや、変わらないわけではないか。何年経っても、いつまでも、リンを愛しいと思う気持ちはずっと大きくなり続けている。


「担当上忍って楽しいんだけど、これでいいのかなって不安になることも多くって。だからさっきのでちょっと自信ついたかも。ありがと!よーし、この調子で迷子猫移送もがんばるぞー!」

「……わかってんのか?普通に歩いたとして、一日そこらで往復できる距離じゃねーぞ?」

「え?うん、そうだね……でもせいぜい三日後ぐらいには帰ってくるよ」

「…………」

「ん……?なんだ、寂しくなっちゃったの?シカマルってば!もうかわいいんだからぁ」

「ああ、寂しいな」


自分から言い出したくせに、俺の返答にぎょっと目を剥くリン。
「何かおかしいか?」と聞けば「だって」と。


「今までそんなこと言ったことないじゃん」


火影の補佐として、里内にいることが多い俺と違ってリンは任務で里を出ていくことも珍しくない。そんなリンを俺はいつも何食わぬ顔で見送っていた。でもそれは、


「お前の後ろ髪引いたら悪いと思って黙ってただけだ」

「ひえ……」

「待ってるから、さっさと帰ってこいよ。くれぐれも気をつけて」

「寝ずに走って帰ってきます……!」

「そういう極端なところはさっさと治せ。付き合わされるトラジ達がかわいそうだ」


別れを惜しむように抱き締めれば、倍以上の力の抱擁が返ってきた。
たかが猫一匹送り届けるだけの旅路に、我ながら大袈裟なもんだとは思う。
でもそれは、それぐらいお前が大切だってことだ。

リンの頬に手を置いて、口付けを交わそうと顔を近づける。
そこで、建物の向こうで串団子よろしく縦に顔を並ばせたトラジ達と目が合った。


「やっぱりイチャついてますね」

「ほんといつ見てもアツアツなんだから」

「チューでもなんでもさっさと終わらせてくれよー!もう行くぞ!」


わざわざ覗き見ておいてひでー言い草だ。
大体てめーらの目の前でキスなんかできるもんか。ため息をついて肩を落とす俺の前では、リンが可笑しそうに笑っていた。


「はいはーい!今行くよ!」


そう言ってリンは子どもたちに手を振って、そしてもう一度俺の方を振り向く。
それから一瞬気を抜いた俺の襟首を引っ張り寄せたかと思うと、素早く唇を押し付けてきた。


「あー!ほんとにチューしやがった!」

「ちょ、お前な……!」

「ふふふ。じゃ、いってきまーす!シカマル愛してるよー!」


リンは今度は俺に手を振って、騒ぎ立てる子どもたちの方へ走っていった。
ほんのりと頬を赤く染めたリンが、子どもたちにからかわれている様子が見える。

馬鹿だな、言い逃げるんじゃなくて、どうせなら俺の返事ぐらい聞いていきゃあいいものを。

でもわざわざ聞かないのは、俺の返事なんてきっとわかりきっているからだろう。
長い間リンの気持ちにも俺自身の気持ちにも向き合えない俺だったから、リンにはたくさん嫌な思いをさせてきたし、不安にさせてきてしまった。今はそんな自分の過去の過ちを少しずつ正していく日々だ。

なんでもかんでもめんどくせーと逃げ続けて、テストだというに鉛筆すら持たずに眠りこけてたガキの頃の俺が、今の俺を見たら驚くだろうな。

仲間のため、里のため、そしてリンのために、ここまでずっと必死で走ってきた。その結果今では火影補佐で、里の参謀だ。
そんでずっと死ぬほどうぜーと思ってた女が、うぜー部分はそのままに最愛の恋人になっている。
かつて思い描いていた平凡で穏やかな普通の日々はどこにもない。毎日が非凡で騒がしくて、色鮮やかで。
でもこれが俺にとってはかけがえのない、一生守り続けたい大切な日常だ。


「さーて、めんどくせーが働くか」







変態注意報【完】



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