もう少しでシュメールを捕らえられる、はずだったのに。
自分の前でシュメールと戦っていたシィモが振り返った。
シュメールはヘリクリサムの扉の奥へ消えた。

「――シィモ?」

シィモは視線だけをこちらに寄越した。何も言わないまま。

「―シュメールを逃がしたのか?なんで?」

白銀の問いに、シィモはやっと体をこちらに向けて、この戦場に不釣合いは優しい表情を浮かべた。

 






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