今日最後の授業が終わり、下校時刻のチャイムが鳴る。
よっぽど早く帰りたいのかチャイムと同時に廊下をダッシュする生徒がちらほら。
その数人の生徒の中に霊夢、魔理沙、早苗の3人の姿があった。

「2人とも〜!早く早く!」

「あんたたち!廊下は走らないの!」

「霊夢、お前だって走ってるじゃん。」

「う、うるさい!あんたたちが急ぐからでしょ!早苗、どうにかしなさいよ!」

「ごめん!実は私もあのクレープ食べたくて…」

「早苗の裏切り者〜!」

「どうやら私たちの勝ちだな。」

3人が急ぐ理由…それは一日30個限定の幻想郷クレープを食べるためだ。

もとは魔理沙が食べたいと言い出して、それに早苗が便乗。せっかくだから霊夢も行こうということになったのだ。

そのクレープ屋は学校から一番近い駅にあるのだが、徒歩でも20分かかる。…その間にクレープは売り切れてしまうだろう。

学生に特に人気があるため、行列に並ぶも自分よりも前で売り切れてしまい涙をのんで帰る人がいるとかいないとか…。

そうこうしているうちに信号機に差し掛かってしまった。

「急いでるときの信号待ちって長く感じるわよね。」

「だよな。特にここは『止まる』時間のほうが長くて『進む』時間のほうが短いからな。」

そういうと魔理沙はポケットから携帯電話を取り出していじり始めた。

「あそこのクレープ屋さんって美味しいのいっぱいあるよね!霊夢は何が好き?」

「そうねぇ…私は燕の子安貝クレープかしら。」

「宿直の輝夜先生も美味しいって言ってたもんね〜」

霊夢と早苗は隣でクレープトークをしていた。

それぞれが夢中になっている中、携帯電話をいじっていた魔理沙が異変に気づいた。

「なんか待ち時間長くないか?」

「そうね…3分くらいは待ってるはずなんだけど…」

「!?」

「早苗?どうしたの?」

ここで3人は気づいた。
さっきまで信号待ちをしていた人の群れが自分たちの数十メートル先を歩いていることに。

「ってことはもしかして…。」

「信号で2ターン待ってしまったということか…!」

3人の焦りはピークに達していた。


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