ごくありふれた授業風景。
霊夢たちのクラスでは英語の授業中だった。

「この問題で単語を並び変えて文章を作るには〜…」

教師が解説しながら黒板に解答を書く。

「あのー…十六夜先生…?」

霊夢は教師に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呼ぶ。

「すると主語は〜…」

どうやら聞こえていないようだ。先程よりも少し大きな声で教師を再び呼んだ。

「あの…!十六夜先生…!」

十六夜先生、と呼ばれた教師はゆっくりと微笑みながら振り返った。

「あら、博麗さんどうしたの?質問は手をあげてからにしてくださいね。」

「…質問です。」

クラス中の注目を浴びながらも霊夢は手をあげた。
昔からことわざでは「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という。
…私が今ここで突きとめておかなければ誰もが納得しないであろう。

「はい、何ですか?博麗さん。」

「あの……授業開始からずっと教卓の横にいるあの子たちはなんですか?」

霊夢は教卓の横にいる女の子二人をビシッと指さした。年齢はおそらく10歳前後といったところであろうか。

「さくや〜!おなかすいた〜!」
「フラン、もう…ねむくなってきちゃった。」

霊夢に指をさされた姉妹はメイド服の教師に向かって駄々をこねている。

「もうちょっとだからいい子にしてね。」

そもそも子供を授業中に連れてこないという発想はないのだろうか。
これでは生徒も授業に集中できない。

「先生、授業中に子供を連れてこないで下さい。」

「うるさかったらごめんなさいね。屋敷にてお留守番させるのは心配だったので…。」

気持ちはわかるがそれはないだろ!と全員が心の中でツッコミを入れた。そして、さっきおとなしくなったかと思われた姉妹はまた駄々をこねはじめた。

「かわいそう…。」

霊夢の斜め後ろの席、幽々子がぽつりと呟いた。無理矢理連れてこられた姉妹の気持ちを考えれば無理もないと思う。




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