ジータ
「グランが羨ましい」
ぽつり。
突拍子もなく吐き出された言葉に思い当たる節もなく、隣に座る双子の姉を見る。
「…どうしたの急に」
「…」
姉がこんなに大人しくなる原因は一つしかない。いや、1人と言うべきか。今回も120%名前さんについてだろう。
名前さんは旅の途中で僕たちのグランサイファーに乗ることになった女性だ。初めこそ面倒見のいい彼女を姉のように慕っていたジータだったが、その気持ちは徐々に恋慕へと変わり、最近になっては少し病的に思えるほどの執着を見せている。幼い頃からお互い浮わついた話もなく育ってきたせいで、今になって知る片割れの特殊な恋愛事情にこちらもつい気を張りすぎてしまうのが困りものだ。
「私が男だったら、名前さんと結婚して、ずっと側にいれるのかな」
…今回は相当拗らせたみたいだ。
近年では同性での婚約も珍しくないし、結婚だけがすべてでもないと思うよ。
それに名前さんが結婚…どころか、恋人ができた時点で決闘を申し込む姉の姿が容易に想像できてしまい思わず頭を抱えたくなった。
十天衆や天司にも勝ってしまう姉に勝てることが条件だなんて、むしろ相手を探す方が難しすぎるくらいだ。
まあ、ジータといるときの名前さんの表情を見たらそんな心配しなくて済むと思うんだけどなあ。
恋は盲目?
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