花火とアイスと 5


当然だけどなかなか人気は途切れない。
どこ見回してもこみまくってて、トイレも混んでるっぽいし。
手をつなげるくらいに近くにある、たまに触れる手。
隣にある優斗さんの体温に身体は焦れて疼くから、早くふたりっきりになれるとこに行きたくてたまらない。
あー、もうどこかねーのかよー。

「優斗さん……、もうホテル行かない?」

それか帰るか。
と、ちらり横見てみる。

「なんでホテル? 花火見るんだよね」
「……う、うん」

暑いだけじゃなく熱くなってる俺とは違って優斗さんは涼しげな顔で笑う。
静かな場所に行くって、俺てっきりアレかなーって思ったんだけど、違う?
いやそんなわけねーよな。
だってさっきのアイスとかさ、絶対確信犯だろ。
一応アイスはまだ残ってはいるんだけど溶けるし舐めてたら減ってくし。
もうあとちょっとしかない。

「優斗さん」
「なに?」
「人多いね」
「そうだね」
「……」

あーふたりっきりとかなれなさそう。
家に帰るまでお預けになんのか?

「―――捺くん」
「へ」
「おいで」

急に手を掴まれた。
驚く間もなく優斗さんに引っ張られて裏路地に入る。
そのまま手は繋がれてほんの少しいた人たちもいないくらい裏に入り込んでいった。
優斗さんはこの辺の地理を知ってるのか迷いなく進んでいく。
奥まった一角に辿りついてようやく優斗さんの足が止まった。

「静か……だけど、ちょっと場所的にはあんまりロマンティックじゃないね」

笑いながら優斗さんが俺に向き直る。
繋いでいる手は暑さで汗ばんでいるけど、不快じゃねーしずっと繋いでいたい。

「いいよ、どこでも。ふたりっきりになれるなら!」

もう一緒に暮らしてんのに、なんでこんなところでふたりきりになれる場所探してんだろうって自分に呆れるけど。
でも、今したいんだし。
ぎゅっと繋いだ手に力を込めて優斗さんに近づくと一気に距離をゼロにした。
アイスをずっと食べてたからか冷たくなってた唇が優斗さんの唇と触れ合うとすっげぇ熱く感じた。
ぺろり唇舐めたらすぐに口開いてくれて舌を差し込んだ。

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