媚薬なHONEYL


「……ッテぇえええ!」

なんだこれ!
朝起きたら身体ミシミシいってるし、腰重いし痛いし、頭もすっげー痛い!!!
身体を起こそうとしたけどそのままベッドに逆戻り。
なんでこんなに身体中痛いのかダルイのかわかんねーまま、自分が裸だって気づく。
しかも見覚えのない天井に部屋の雰囲気。
なんとなくラブホテルっていうのはわかる。
いや、つーか俺昨日クロや朱理たちと飲み会だったよな。
飲んでた記憶はあるけど途中から曖昧で。
ズキズキする頭に額を押さえながらふと隣を見た。
一瞬―――最悪な事態が頭をよぎったけど、見慣れた寝顔が隣にあって心底安堵した。

「よ、よかった」
「……なにが?」

うっすらと目を開けた優斗さんが欠伸をしながら聞いてきた。

「うわっ、起きてたの!?」
「ん……いまちょうどね。捺くんなんか叫んでた?」
「あ、うん。いやなんかすっげぇ身体が痛くて」

腰を摩ると優斗さんも手をあてて一緒に摩ってくれる。
そしてすっげぇ笑顔。

「ああ、一晩中頑張ったからね」
「えっ、そうなの?!」
「あれ、覚えてない?」
「……ごめん、ちょっと飲みすぎたのか、あんまり覚えてない」
「そっか。可愛かったのにね」

俺の言葉を気にする様子もなく優斗さんはすっげぇ上機嫌だ。
優斗さんから可愛いっていうのはよく言われるし、誤魔化すようにへらへら笑ってた、ら―――。

「また今度言ってほしいな」
「なにを?」
「ああ、覚えてないんだったね。捺くんがどうしてもって言って、"捺の――……"」
「……」

とか、あとはこんなことも言ってたよ。

って、優斗さんが俺の覚えのない、俺の発言をにこにこ教えてくれる。
「……」
なんだよそれ、どこのエロゲー、なんのAVだよー!!!!
と、乱れまくってたらしい俺に回し蹴り食らわしたい気分になりながら、今度から意識飛ぶほどの飲酒は控えようと心に誓った。



そして。

「は?」
『だーかーら。お前媚薬飲まされたんだよ。ったく、気をつけろよな。優斗さんむちゃくちゃ心配してたぞ。それにな、俺はテメーのせいでっ』
「は?」
『捺? バカクロのことは気にしないでいいから。それとお前ね―――』

クロから朱理にかわった電話で俺は昨夜のことを詳細に聞かされた。
俺が間違ってクロにディープキスかましたことも。

「……」
「捺くん?」

電話を切った俺に、にこにこ笑顔の優斗さんが話しかける。

「ゆ、ゆ、ゆ……!」
「どうしたの」
「ご、ご、ご」

ごめんなさいー!!!
と、すかず土下座して、しばらく禁酒しようと誓いを改めた。
ちなみに優斗さんは、

「媚薬まで飲まされて正直少しいやだったけど、でも捺くんが頑張ったからいいよ。また可愛いおねだり聞かせてね」

……ということだそうで。

「う、うん。……ガンバリマス」

俺はそれくらいしか言うことができなかった。
それにしても―――腰痛い……。



*媚薬なHONEY☆おわり*

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