また、ここで 9 side捺


21歳の優斗さんってめちゃくちゃ可愛い。
そりゃ見た目はいつも通りの優斗さんだけど感情の出方とか言葉遣いとか微妙に違う。
若い分ちょっと素直な感じがするというか。
いや普段の優斗さんも素直だけど、やっぱ経験値が違うからな。
だから今日は新鮮な若い優斗さんを堪能させてもらった。
絶叫マシンはしごしたあと体力のなさを実感したとかいう優斗さんにはつい真顔になったけど。
だって夜の生活振り返ってみて俺より優斗さんの方が明らかに体力あるし!
それにしても優斗さん可愛い。
記憶障害は驚いたけどまさかの優斗さんの記憶が戻ってたのが21歳の10月ってことは、誕生日くるじゃん!
しかも俺と同じ誕生日になるとか!
これってすげー!
そりゃ実際はいま6月だから違うけど優斗さんの意識としちゃ10月なんだし。
それにしてもやっぱり優斗さん可愛い。
夕食のとき優斗さんように誕生日プレート出してもらったら目潤ませてたし。
21歳の優斗さんにって昨日買っておいたブレスレットもよく似合ってたし。
はにかんだ顔が本当に優斗さん可愛い。
優斗さんマジ可愛いし、付き合ってるってことは言わないでおくにしても21歳の優斗さんに告白はしておきたかった。
もちろん俺と優斗さんが結ばれた記念すべき思い出の地で!
ってことで告白したんだけどやっぱり優斗さんは可愛かった。
真っ赤になる優斗さんってなかなか見れないもんな。
つーか何回か俺がモテそうって言ってたけど、ほんと優斗さんこそモテそうっていうか、もう天然タラシめって感じで俺は何回もハート打ち抜かれてったっつーの!
いやしかし本当優斗さんマジで可愛い。
でも、びっくりした。

「おめでとう、捺くん」

記憶ないから、だから俺の誕生日なんて優斗さんが知るわけない。
なのに優斗さん自身もよくわかってないような表情で―――言ってくれた。
びっくりして嬉しくて、優斗さん可愛くて、あーキスしてぇー!って、思ってたら。
距離が近づいて、唇が触れ合った。
至近距離で見た21歳の優斗さんはやっぱり可愛くて。


触れあった唇がゆっくりと離れていく。
それを眼で追い、優斗さんと目があって。

「……」

あ、って思った。

「……あれ、ここ?」

そしてすっげぇ不思議そうに辺りを見渡した。
「あれ? 俺たち地下鉄に乗ろうとしてなかったかな?」
優斗さんが怪訝な表情で聞いてくる。
俺は、
『またね』
って21歳の優斗さんに心の中で言って、
「おかえり」
って優斗さんに笑いかけて、もっと不思議そうにした優斗さんの唇を塞いだ。


***

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