ところてん、はじめました。D


あー……生はやっぱ違う。
ゲイビ見てオナってたのなんかゴミに感じるこの感覚。
優斗さんの舌が咥内を這うだけでぞくぞくと背筋に快感が走る。
頬にあてられた指がそっと輪郭をたどるようになぞってくるだけでもっと触ってよって言いたくなる。
キスしてる最中だから言えない。
だから代りに優斗さんの首に手まわして身体密着させて、舌絡めあわせて、互いの咥内を行き来して。
擦れ合う舌とか、脳内に響く唾液の音とか、欲求不満な俺には一気に熱が高まる。
頭の中が熱くて溶けそうで、ひたすら絡めあうだけのキスをもっともっとしたくなる。

「ん、……ふ、ぁ」

ゆっくり優斗さんの唇が離れていって、ゆっくり目を開けたら唾液の糸がひいてんのが見えた。

「なんだか……今日は激しいね、捺くん」

すっかり欲に濡れた眼差しが俺を見つめて、色っぽく笑う。

「……んー……俺、優斗さんのキス……好きだし」

ゲイビ見てヤリたくてたまんねーの!なんてこと言えないから、嘘じゃないもうひとつの本音言った。
いろんな子とキスしてきたけど、相性いいのかな? 優斗さんとするキスってめちゃくちゃ気持ちよくってしてもしてもしたりない。

「……」

優斗さんはどうしたのか一瞬固まって俺の肩に頭を乗せてきた。

「優斗さん?」

まさかキスで疲れた?!
俺的にはこれからが本番なのに!??
焦ったけど、俺の腰に手が回って抱きしめらた。

「……やばいな」

……俺じゃない。
優斗さんがぼそっと呟いた。
なにがヤバ―――って不思議に思った瞬間優斗さんの顔が少し動いて耳に吐息が吹きかかる。
そしてそのまま耳朶を甘噛みされて、囁かれた。

「捺くん、ベッド行く? もう寝ようか?」

いつもより低い声は妙に甘くて、心臓が跳ねし腰に響く。
寝ようかっていう言葉がそのままの意味じゃないってことは声でわかった。
行く行く!もう早くイキたい!
なんて親父ギャグは当然心の中にしまって、俺は黙って頷いた。

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