ところてん、はじめました。A


俺、マジでヤバイかも。
結局ゲイビ3回リピートした。
ばかじゃね、ばかじゃね、ばかじゃねーの! 俺!
一晩で三回オナってとか、ばかじゃねーの!
しかも―――3回もしちゃったのは―――後が疼いて足りない気分なったけど自分じゃどーしても弄れなくって仕方なく息子を酷使したとかいう……。
あー……おちんぽミルク品切れだよ。

「ったく、うっとうしいわね。辛気臭い顔して。眠たいなら部屋に戻りなさいよ」

翌土曜の夜。
珍しく外出もしないでぼーっとして、風呂上がりもぼーっとしてる俺にお袋が言葉通り鬱陶しそうにシッシと手を振る。
俺は言い返す気力もなく、こっそり冷蔵庫から親父のビールをひとつ取って部屋に戻った。
ベッドにダイブして深いため息ついて、ごろんと寝返って腹の上で缶ビール開ける。
さすがにそのままじゃ飲めないから起き上がり壁にもたれて一口飲みつつ部屋の小さいテレビつけた。

「……げ」

昨日夜に消してそのまま。今日はぜんぜんつけなかったから、昨日の夜の状態の画面はゲイビのメニュー画面。

「……」

もう見ないぞ、見ないぞ……と思いながら俺は再生ボタンを押してしまっていた。
でもヘッドフォンはつけないからな!
そう思いながらはじまってしばらくしてそろそろとヘッドフォンを手にしてしまうダメな俺。

『……っ、もう挿れていいか?』

優斗さんに似た、でも優斗さんとは違った俺様な感じの男優の声に。

「……あーくっそ、もー最悪、くそばか!」

俺は悪態をつきながら元気になってきた息子をなぐさめたのだった。


***


それから数時間して、部屋の窓開けて換気。
深夜ともなればわりともう涼しい。夜風にふと思い立って深夜一時俺は家を出た。
ゲイビ見ながら一回抜いて、でも足りない。
もーまじで、ヤバイ。
あーヤバイ―――から、気分転換に近所のコンビニに行くことにしたんだ。
エロ本でも買ってみるか、ってそりゃ意味ないしな。
あー……和のところでも行ってみるかなー。
どうしようかなーと悩みながらとりあえずは雑誌コーナー。
マンガ雑誌手に取ってペラペラめくる。
頭にあんまり入ってこなくて、本当に流し読み。
読みながらも―――優斗さん何してるのかなーって考えてしまう。
今日メールしてみようかなって思ったけど、迷惑だったらなーってできなかった昼間。
来週は会おうって言われてるし……な。
明日は和でもさそってカラオケでも行こう。
……来週俺がっつきそう。
つーか俺大丈夫なのか? 普通にオナっただけじゃ足りねぇって―――。

「すみません、煙草ください」

ふ、と耳に飛び込んできた声に思考が中断。
ゲイビの見すぎか? なんかすっげー優斗さんに似た声に聞こえた。
店員とやりとりしている声が、優斗さんに似てて、空耳に決まってるってわかってんのに、振りかえって。

「……あ」

店員から煙草を受け取っているのは、まぎれもなく優斗さんだった。

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