あなたへ贈るチョコレート☆3


「俺のもらうチョコなんて会社の女性一同からしかないよ」

ただの義理の、その他大勢のチョコでしかないのに。
少しヤキモチやいてくれてるのか捺くんの気持ちがくすぐったくて、やっぱり嬉しかった。

「……わかってないなぁ、優斗さん」

頬が緩んでしかたない俺に、わずかに呆れたようにため息をつく捺くん。
なにが?、と返せば、なんでもない!、ともう一粒くれた。

「……捺くん」

全部味が違うらしいチョコを味わいながら、残り半分を眺めて名残惜しさを覚える。

「食べ終わっちゃうのが寂しいな」

いやチョコレートで作った箱も丸ごとのこってはいるけど、せっかく捺くんが作ったものが減っていくのがもったいなくてたまらない。

「写メ撮っておけばよかったな……」

そうだ、なぜ撮らなかったんだろう。
いまからでも遅くないよな。
スマホどこに置いたかを思い出していたら急に捺くんが叫んだ。

「……っ、優斗さん! かわいすぎっ!」

今度は捺くんが抱きついてくる。
俺なにか変なこといっただろうか。

「捺くん?」
「心配しなくても大丈夫! 実はさーいっぱいチョコ作ったからまだまだあるんだ。一応渡すのに見栄えよく箱に詰めれたのはあれだけだったけど。試作品とか朱理たちや実優ちゃんたちにも配りまくったんだけどね。だからしばらくチョコ三昧……平気?」

そっと上目遣いに見つめてくる捺くんに、笑みがこぼれた。

「平気だよ。捺くんが作ってくれたチョコならどれだけでも食べれるよ。―――でも」
「でも?」
「試作品も全部俺が食べたかったな……」

心が狭いかもしれないけど、最初はどんなふうだったんだろうと思うと、食べれたひとたちが羨ましい。
どれだけ俺捺くんのこと好きなんだろう。
しみじみと内心想っていたら、抱きついていた捺くんの腕の力が強まった。

「もー! 優斗さん可愛すぎだって!」
「……? 捺くんが可愛いよ?」
「あー、もう!」

何故か捺くんはおかしそうに笑いながら俺をソファに押し倒してキスをしてきた。

「優斗さん」
「なに?」
「大好きだよ」
「俺も、大好きだよ」

嬉しそうに緩まる捺くんの頬を撫で、またキスをかわす。
熱を帯びていくキスの合間、

「あとで捺くんからもらったチョコの写メを撮らないと……」

と呟いたら大きく吹きだされ。

「俺も優斗さんからもらったチョコ写メとろーっと」

笑いながら捺くんは手を伸ばして俺のあげたチョコを食べ、俺には作ってくれたチョコを食べさせてくれた。
そして口の中で溶けきる前に、唇が重なる。
絡み合う舌と二種類のチョコレートが熱で溶けていく。
甘い、甘すぎるけど、もっと欲しくなってしまう甘さ。
身体に浸透していく甘い味と香りに、俺たちは溶けるように溺れていった。


【Happy Valentine!】

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らぶあま本命チョコが一位でした☆
ご協力くださったみなさまありがとうございました♪

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