あなたへ贈るチョコレート☆1


「おかえり、優斗さん!」
今日は2月14日の金曜日。
いわゆるバレンタインデーだ。
午後9時間近、俺を出迎えてくれた捺くんが抱きついてくる。
外の寒さに冷えた身体に心地よい体温。
「ただいま、捺くん」
「優斗さん、すっげー冷えてる! お風呂入っておいでよ。夕食準備しておくからさ」
「ありがとう」
俺からカバンやコートを受け取った捺くんがぽんと背中を押してくれる。
促されるままにバスルームへと向かった。
「ゆっくり温まってねー!」
軽く手を振ってくる捺くんに笑顔で頷いて、閉まるドアを眺めた。
遠ざかっていく足音を聞きながら、
「……一緒に入らないんだ、風呂」
思わず呟いてしまう。
いや、その―――いつもバレンタインのときはチョコローションのお風呂とか用意してあるから今年もそうなのかなって思っただけで、別に寂しいとかそういうんじゃない。
それでも多少物足りなさを感じながらひとり風呂に入ったのだった。

***

風呂からあがると今日の夕食はハンバーグカレードリアとサラダ、そしてスープだった。
捺くん曰く、
「このカレーの隠し味チョコなんだよ! でもさー急にハンバーグも食いたくなって、ドリアにしちゃった。うまいからいいよね」
だそうで。
捺くんお手製のカレーもハンバーグもとても美味しくて、付き合いだしたころに比べると本当に驚くほど料理の腕が上がっていて感心してしまう。
店で出されてもいいくらいに見栄えよく仕上げられた料理に、何度も美味しいと言ってしまった。
隠し味にチョコレートというのが今日バレンタインっていうことを現わしていて頬が緩む。
俺もチョコレートは用意しているし、この後きっと捺くんもくれるのだろうからデザートはチョコづくしかな。
なかなかボリュームのある夕食を終えてふたりで後片付けをして。
コーヒーをいれてソファに並んで座り、俺たちは互いの考えてることなんてわかってるかのように笑いあった。
そして俺から捺くんへチョコを渡した。
「いつもありがとう」
チョコと、そしてそろそろ香水がなくなりそうだっていっていたから新しい香水もプレゼント。
「わー、ありがとう! 優斗さんの選ぶチョコっていつもすっげーうまいから嬉しい!! 香水も! ありがとー!!」
満面の笑みで抱きついて俺にキスしてくれる捺くんに、喜んでもらえてよかったってほっとする。
「……じゃあ俺からも」
俺があげたチョコを一粒づつ食べて、それから捺くんが立ちあがった。
「優斗さん、ちょっと目をつぶってて!」
「うん」
なんだろう。どんなチョコなんだろう?
少しワクワクしながら俺は目を閉じた。
そして―――。
「優斗さん、はい! 俺から優斗さんへ」
捺くんが目をあけていいよ、と言ってチョコをくれた。


***
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