その8
「俺は飲んでないよ。だって捺くん、智紀にもらったワイン一人で全部飲んでたじゃない。俺が帰ってくる前に。2本も」
「……」
智紀、さん?
ワイン?
なんだそれ―――って考える間にも頭はズキズキしまくってて、俺はそれを振り払うように頭を振って起き上がった。
けど。
「ッ!!!! ッテェエエエ!!!!」
途端に腰っていうか後孔から痛みが走りぬけてベッドにまた倒れ込む。
「大丈夫? やっぱり無理しすぎたんだよ。智紀もあんなものを寄こしてくるなんて」
アンナモノ?
なに、なになになに。
ていうか、俺昨日なにしたんだよ。
ていうか!!!!
「ゆ、優斗さん!!!」
俺は優斗さんの肩を掴んで揺さぶった。
「どうしたの、捺くん」
「あのさ、あのさ、昨日、シ、シたよね!?」
「うん。あれ、やっぱり覚えてない? 捺くん俺が帰ったときすっごい酔っぱらってて動けない状態だったんだよ。なのにスるってきかなくて」
それに智紀がワインと一緒に渡してきたあの―――
喋り続ける優斗さんに、俺は脱力していく。
優斗さんの話す昨日の情事と俺の覚えてる情事はまったく違う。
しかも、そんなことまでシたのか俺ー!?
って焦ってたら、そういや、俺、なんかそういや自分でアレをあそこに―――……。
「ッ、わー!!!」
恥ずかしすぎて頭抱えてギャーギャー喚く。
そんな俺に優斗さんが吹き出してそっと抱き締めてきた。
「可愛かったよ、昨日の捺くんも」
耳元で甘く囁かれてふっと気が緩むけど……。
ということは俺が優斗さんのバックヴァージンを奪ったっていうのは。
「夢オチかよ!!!」
思わず叫んでいた。
「え? 夢オチって?」
「え、あ、なんでもない!!!」
まさか優斗さんに突っ込んだ夢を見た、なんて言えるはずもなくって俺は必死に首を振って話を逸らした。
―――ああ。そっか、全部夢か。
いやでもいつか正夢に……。
なんて思う俺は相当バカかもしれない。
☆おわり☆
おまけ。
「……」
ローションとかゴムを置いている引き出しの中に見慣れない"玩具"がひとつ。
「……」
『捺くん、使ってみたいって言って自分で挿れ―――』
「うああああ!!!」
引き出しをガンって音がするくらいに閉めて、俺は絶叫したのだった。
***
あとがき
まさかの夢オチでしたwww
サーセン^^;
でもまぁもしかしたら正夢になるかも、だし?wってことで!
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