Sweet Birthday 3


優斗さんの部屋に入るとすげえ美味しそうな匂いが充満してた。
そういや実優ちゃん来てたんだよな。
鉢合わせなくてよかった。
いまさら気づいてホッとする。

「捺くん、ごはんはもう食べた?」
「お腹空いてハンバーガー食べたけど」
「お腹いっぱい?」
「え、全然」

逆にいい匂いにつられてまた腹鳴りそうだし。

「じゃあ、ご飯食べていかない? 今日は実優が作ってくれてるんだけど、たぶん量多いし。……あ、でもお家で用意されてるよね?」
「だ、大丈夫! メールするから!」
「そう?」
「うん!」

本当は夕飯準備終わってたらギャアギャア怒られるけど、食べないこともしょっちゅうだし大丈夫だろ。
平気だってアピールするように携帯取り出して早速メール送信した。

「よかった。せっかくなら一緒に食べたいなって思ったから」

ごめんね、と苦笑する優斗さんに大きく首を横に振った。

「俺のほうこそ、突然来てごめんなさい。プレゼントだけでも渡せたらなって来たんだけど、まさか会えるなんて思ってなかったし……。優斗さん疲れてるよね」
「なんで? 俺は会えて嬉しいよ。本当は遅くなるはずだったんだけど、予定が変更になってね。たまたま早く上がれたんだ」

俺たちふたりリビングの入り口で突っ立って話し込んでる。
いつもならお茶いれてもらったりしてとりあえずソファでくつろぐんだけど、今日は優斗さんが立ち止まって俺のこと見つめてるから、どうすればいいのかわかんなくって視線もそらせなくってちょっとソワソワ優斗さんのこと見つめ返すことしかできないでいた。

「帰ってきてよかったな」

そう言って、繋いだままだった手を優斗さんがぎゅっと握りしめる。
……な、なんか優斗さんといると妙に気恥ずかしくなるときがあるんだよな。
どう返事すればいいのかわかんねぇで、

「……俺も会えてよかった。やっぱ直接会って渡したほうがよかっただろうし……。あの、お誕生日おめでとうございます」

ふわふわ甘い空気が漂ってる気がしながら軽く頭を下げてお祝い言ってみた。

「ありがとう」
「あ、あの」

プレゼント渡すタイミング!?って袋持ち上げかけたらそれより早く優斗さんが一歩俺に近づいた。

「捺くん」
「はい?」
「キスしていい?」
「えっ?」

いや俺マジで場数は踏んでる!
踏んでるんだけど!!
なんだろう、ピュアーな雰囲気の優斗さんといるとなんか調子狂うっていうか、なんていうか……。

「あ、うん、はい」

聞かずにしてくれていいのに!
聞かれたら逆に恥ずかしいんだけど!
いや恥ずかしがるタイプじゃねぇんだけど、なんか恥ずかしい!
小学生か中学生か!って焦る自分がバカみてぇ!
また少し優斗さんが近づいて顔に影がかかる。
距離が狭まる寸前優斗さんが目を閉じて、睫毛長いよな、なんてどうでもいいこと考えてるうちに唇が触れた。
触れるだけの数秒のキス。
少し顔が離れて、目があって、今度は聞かれなかったけどなんとなくわかって目を閉じる。
すぐにまた唇が触れて、舌が割って入ってきて。

―――……あー、やばい、気持ちいい。
優斗さんのキスって―――好きなんだよなぁ、って舌を絡めた。

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