7 据膳ですよね? え、違う?


「ありがとう、ちーくん。俺のバカみたいな勘違いに付き合ってくれて」

申し訳なさそうに眉を下げる智紀さんに苦笑する。
普段見れない殊勝な態度だ。

「別に、付き合うとかじゃないですよ。俺がもらった大切なプレゼントで、履きたかったからこうしてるんだから。……ありがとございます」

別の意味でサプライズなプレゼントだけど、それでもこうして俺のことを気にかけて選んでくれたのだから嬉しくないはずがない。

「……千裕」

智紀さんが俺の頬に触れて顔を寄せてくる。
俺は素直に目を閉じ、キスを受けた。
食むように触れ、侵入してくる舌。同時に肩を抱き寄せられ背中に腕がまわる。
当然だけど褌だけの俺は半裸で、少し羞恥が沸くけど舌に絡みつく舌に、俺もこすりあわせるように動かす。
俺に刺激を送ってくる舌の動きは巧みで、もう数えきれないくらいキスしてきているのに溺れてしまいそうだ。
唾液の混じり合う音が耳に、身体に響いて、智紀さんへと身体をすり寄せかけて、慌てて智紀さんの腕を叩く。

「……なに?」

濡れた唇と欲を孕んだ声。
身体の芯が熱を帯びそうになってしまう。

「あの、先にシャワー浴びませんか」

今日は誕生日だし、たまには俺から一緒に風呂入ろうと誘ってもいい。
とりあえず仕事終わりで汗もかいてるしさっぱりしたい。
褌も、ちょっと恥ずかしいから申し訳ないけど脱いでからゆっくりベッドに―――。

「風呂……一緒でもいいですから」

平静を装って言えば、きょとんとしたあと智紀さんがほほ笑んだ。

「ちーくんからお風呂誘ってもらえるなんて嬉しいな。でも、俺いま触れたいな」

そうまたキスを落としてくる。

「でも俺汗臭いし。ね、ゆっくり風呂入りましょうよ」
「んーでもまだ褌プレイしてないし」
「褌プレイはまたあと―――……褌プレイ?」

一瞬流しそうになった単語。
この人いまなんて言った?
さわさわと、背中に回っていた手が下におりていって褌をしめたケツに触れてくる。

「……勘違い、してたんですよね?」

勝手に低い声が出た。

「うん、勘違いしたよー」

にこにこと笑顔の智紀さん。

「……」

なんで―――このひとが純粋に、褌を俺が喜ぶと思って選んだなんて思ったんだろう。
なんで―――このひとがそんな勘違いするなんて思ったんだろう。

「ほんっとうに、勘違いしたんですか」

さらに低い声が出た。

「俺が千裕に嘘つくわけないだろ? 仕事がらみかなーとも思いはしたけどスマホで褌見てる千裕の表情は真剣で物欲しげで褌に対する熱い情熱があるように見えたから選んだんだよ」
「……」

それ智紀さんの妄想フィルターかかってるんじゃないんですか?
いや、かかってるだろ。というか、

「脱ぎます」
「だめ!! 俺が脱がせてあげるから!」
「いやです」

なんでこのひとが褌履かせて終わるなんて思ってたんだろう!

「ちーくん。せっかくの誕生日だよ」
「だからなんなんですか」
「今日の記念に思い出つくろう。俺が贈った純白褌で素敵な一夜を過ごそう!」
「最初からこれが目的だったんですね」
「いやいやいやいや。本当に褌を物欲しげに見てたから俺は褌を選んだんだって。褌オプションとして夜のプレイもあるっていうだけで」
「そんなオプションないです」
「えー、据膳食わねばなんとかって言うだろ」
「俺は据膳じゃな、っ」

なんで智紀さんが変なことを考えてないなんて、思い至らなかったのか。
離れようとした途端、ケツにあった手が割れ目にぴったりとはまってる褌の捻りを引っ張り上げて驚いた。
そしてすかさず指がもぐりこんで後孔に触れてきた。

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