12月1日


『遥のミニスカサンタコスで先生と着衣H!』
『クラスのイベントかなんかで遥ちゃんがサンタの格好させられて(女装)、それが女子たちよりも可愛いくてみんなから(特に男子)称賛をあびる。照れる遥ちゃん。それを先生が見て「俺以外に可愛いところを見せた罰だ」とさんざんベッドで攻められる遥ちゃん。』
『無自覚な遥かちゃんに嫉妬する先生。でも可愛いから甘やかしちゃう。』


***


「すっげー! まじ可愛い!」
「澤野くん、かわいい! 負けたー!」
「きゃー! 写真撮ろうよ〜!!」
放課後の廊下。とっくに他のクラスの生徒たちは帰っているのに俺の受け持つクラスだけがやたらと騒がしい。
HRのときに妙に浮いた空気がしていたからなにかありそうだな、と思って見周りに来てみればあいつらなにやってるんだ。
開けっぱなしのドアから中を見れば、生徒たちはほぼ全員残っているようで、数人がクリスマスのコスチュームに身を包んでいる。
そして騒ぎの中心に遥がいた。
サンタコス。しかもミニスカにニーハイ。
化粧や、ウィッグをつけてるわけじゃないが、それだけでも小柄な遥にはじゅうぶんに似合っている。
「澤野マジやべー! 腰ほっそいな、お前!」
「まじで可愛すぎるわ!」
遥にベタベタ触ってるのは木下と大山だな。
眺めながら頭の中でメモりつつ、ゆっくりと口を開いた。
「澤野」
一瞬にして教室内が静まりかえり生徒たちの注目を浴びる。
遥も俺を見て驚いたように目を見開いた。
「ちょうどよかった。学級委員のお前に手伝ってほしいことがある。ちょっと来てくれるか」
「……は、はい。あの……」
「お前ら、遊んでないで早く帰れ。いま制服以外着ているやつらはそのままその格好で帰れよ」
口角をあげて言えば、ええーっと、叫びが帰ってくる。
それを無視して、澤野、ともう一度呼んで教室をあとにした。
少しして遥が慌てて後を追ってくる。ちらり肩越しに振り返ればサンタコスのままで恥ずかしそうに俯いている。
「あ、あの、先生。これは……あの」
おずおずと声をかけてくる遥に、「知ってる」と返した。
クラスで今度クリスマスパーティをするとか話してるのは小耳にはさんでいた。イベント好きの生徒がコスプレしようと騒いでいるのも。
どうせ今日のこともその下準備とかだろう。
そう言えば遥は俺と肩を並べ「そうです」と言いながら心許なそうにミニスカートの裾を引っ張っている。
「……先生」
「なんだ」
「あの……僕……この格好で帰らなきゃ……ダメですか?」
頬を染めた遥がぼそぼそと呟いたところで準備室に辿りついた。
鍵のかかったドアを開けて遥を中へと促し、俺も入ると後手にドアと鍵をしめた。
「その衣装誰のなんだ?」
「これは、あの、村川さんが……。じゃんけんで負けて……僕が着ることになって」
「ふうん」
「似合ってませんよね」
羞恥と不安をないまぜにした表情で視線を泳がせどんどんと俯く角度が深くなる遥へと手を伸ばし、顎を掬い上げた。
「似合ってる」
一言言えば遥はきょとんとしたあと一気に真っ赤に顔を染め上げる。
「だけど」
じっと見つめれば、今度は不安そうに視線を揺らせる遥を引き寄せた。
「俺以外にこの姿を見せるのはダメだな」
「……え」
「あと他のやつに触らせるな」
驚く遥が口を開きかけのを塞ぐように唇を重ねた。
一瞬身じろぐ身体を抱きこんで、舌を滑りこませ遥の舌へと絡みつかせた。
強張っていた身体はすぐに緩みそっと俺の背へと手を回してくる。
静かな準備室の中、響くのは舌が交わり立てる水音だけだ。
「……ン」
微かな吐息がこぼれるのを聞いて遥の腰に回していた手を下へと滑らせる。
短いスカートの裾から中へと侵入すると当然男物の下着が色気なしにあって、さらにその裾から手を差し込んで素肌に触れるとひと際大きく遥の身体が震え俺から離れようとした。
もちろん離れさせはしないけど。
「先生……っ」
「なんだよ」
手を動かし続けながら遥の目を覗き込んで笑うと遥は「……誰か来たら」と首を振る。
「鈴木は今日休みでいないし、大丈夫だ」
「で、でも」
もう一度唇を塞ぎ言葉を奪うように舌を激しく絡め、そして甘噛みした。
目を潤ませる遥。濡れた唇を親指で拭ってやりながら、
「他のやつにこんな格好を見せた触らせた……お仕置きだ」
笑いを含めて耳元で囁けば遥はまたさらに肌を赤く染めて俺の胸へと顔を埋めたのだった。


*おわり*

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