おまけ。三牧すぐるの恐るべし危機一髪。


こっえーーーーー!!!!
怖ーよ!!!
怖かったあああああああ!!!!

さりげなさを装って空き教室を出て、階段降りて、限界が訪れてその場にへたり込んだ。
足ガクガクしてるからー!!
情けないくらい震えてますからー!!

「まじこわ! なんだよ、制裁でゴーカンてまじかよ!!」

犯罪だろ!!!!
放課後、たまたま日直だったせいで担任に雑用押し付けられて帰るのが遅くなってしまったら生徒会会計の親衛隊長がF組の手下なのかなんなのか引き連れてやってきた。
いつもだったら親衛隊のメンバーなのに、今日はF組。
めっちゃくちゃイヤな予感したけど逃げれねぇしでガクブルしながら連れてこられたのは旧校舎の空き教室だった。
もしかしてリンチ、もしかしなくてもリンチ!?と思ってたら押し倒されたよね。
あの瞬間の俺の頭の中は真っ白になった!
なんだよ、こいつらみんなホモなのかよ!!!!
どいつもこいつもバカバカバカ!!!
そう思ってる間にも俺は金髪トリオに押さえつけられて金髪Aにズボン脱がされた。
もう絶体絶命だってマジで泣きそうになって。
なのに―――。

「どうしたんだ……、って、え!??」
「なんだよ……、っええええ?!!!」
「お前たちどうしたの、さっさとヤって……え!??? デカっ」

なんかざわざわしてる。
怖くてつぶっていた目を恐る恐る開けると、目を見開いて―――俺の股間を見てる金髪Aがいた。
デカッ、てそういや聞こえてきたな。
巨根に引いてるパターンか!! 悪かったなデカチンで!!!
半泣き状態だけど心の中で叫んだ。
叫んで―――アレ、ってなる。
なかなか次の行動がなかったからだ。
どうしたんだろってよくよく見てみるとどうやら俺が巨根すぎてびっくりしすぎて呆然としてるような。
そのとき俺は、閃いたのだ。


「あれ、三牧くん、どうしたの。こんなところで」
階段下に座り込んでた俺にかかった声。
顔を上げると―――。
「委員長ー!!!!!」
俺のクラスのクラス委員長の松永!! 俺は松永に抱きついた。
「うわっ、なに、どうしたの!?」
「松永っ!!!! 俺!! 俺!!! お前っ!!! 俺とお前のラブトゥナイトーーーー!!!」
「ちょ、ちょ、三牧!?」
最近制裁が多くてやつれてる俺に話しかけてくれた優しいクラス委員長松永。
「お前のおかげで助かった!!! ラブトゥナイト!!!!」
「え、ラブナイがどうしたの? 続刊読む? 貸す?」
「読むー!!!!」

"俺とお前のラブトゥナイト"

それは俺が初めて読んだ、松永に借りたBL漫画。
腐男子なんだ、と俺に教えてくれた松永が気晴らしにと貸してくれたBL漫画!!!
出会ったゲイ二人が一夜を過ごすことになるんだけど、お互い攻めのつもりで。
いざ本番ってときに慌てた攻めが―――。

『でも、お前に俺を満足させることができるのかよ』

と、起死回生すべく受けを追い込んだあのシーン!!!
ちょうど昨日読んでて!!!!!
俺はあの瞬間コレだ!!!と閃いたんだ!

「松永ありがとう!! 攻めの城ヶ崎ありがとおおおおおお!!!」

『俺、結構自信あるぜ。教えてやるよ、めちゃくちゃ気持ちいいセックス』

寒いわー!! と読んでた城ヶ崎の台詞の数々もいま俺にとっては救いの台詞!!!
まさかあんなにうまくいくとは思わなかったけど!!!!
もしかしてみんな実は童貞だったのかな!?とか思ったりしたけど!!

「ありがとおおお! BL最高ー!!」
「えっ、なに? 三牧BL目覚めた? 目覚めたの?!」
「攻めは無敵だー!」
「そうそう! 城ヶ崎様はスーパー攻め様だから!!!!」

ホモばっかりのこの学園はいやだけど!
俺を危機から救ってくれたBL万歳!!!

恐怖のひとときは過ぎ去り、松永に会ったことで気持ちが落ち着いてきた俺は寮へと一緒に戻り、松永のBL語りを延々聴くことになったのだった。



【おまけ。おわり☆】


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