chocolate holic T


*ともちー恋人設定です*



マンションのエントランスに入って時計を見ればもうじき10時だった。
ネクタイを緩めながらエレベーターに乗る。
部屋で待ってるだろう千裕がどんなチョコレートを用意してるんだろうと考えて口元が緩んだ。

『今年はちーくんからチョコがもらいたいなー』

2月に入ってから毎日のように千裕に言っていた言葉。

『なんでですか』

呆れたように興味なさそうにしてはいたけど、きっと用意してるだろうな。
そう言うところが可愛いんだよな、千裕は。
鍵をポケットから取り出してエレベーターを降りると角部屋の我が家に到着。
ドアを開ければふわりといい匂いがし、ツンとスパイシーな香りがしてきた。

「ただいま」

声をかけてリビングに向かっていると大きな物音が響いてきてそして千裕が顔を見せた。

「お帰りなさい」

ほんの少し疲れた様子で笑顔を向けてくる。

「ただいま。ちーくんは今日は早かったの、仕事?」
「少し……7時半には帰って来れました。智紀さんご飯食べます? カレーだけど」
「ちーくんのカレー大好物だよ」

千裕がたまに作ってくれるチキンカレーは割といろいろスパイスや隠し味を入れているらしくて美味しい。

「用意するから着替えてきてください。あと手も洗ってきて下さいね」

ほんの少しだけ俺から視線を逸らすようにして言ってくる千裕に素直に頷いた。
本当はスキンシップを取りたいところだけどいまはとりあえず我慢しておこう。
千裕もいろいろと用意があるだろうし―――。
これからの楽しいチョコレートタイムに口笛吹いて頭の中でシュミレーションしながら寝室に向かった。


***

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