12
それに対するのものなのか深いため息がつかれ、優斗は大きく身体の向きを変え俺に背を向けた。
怒った、か?
ヤリ過ぎ――なんて言われる、
「別に」
かもしれない。
そう思っていたら優斗がポツリ呟いた。
「助けてくれたんだし、いいよ。というより――助かった。智紀、ありがとう」
もしや背を向けたのは照れ隠しなのか。
素直に告げられた礼の言葉に虚をつかれていたらぼそぼそと続く言葉。
「……え?」
「……寝る!」
珍しく声を荒げ沈黙する優斗。
俺は――
「……っおい、智紀!」
背後から優斗を抱きしめた。
「優斗寝る前にとりあえず一回ヤろう!」
「は!? バカじゃないのか?! 離れろ! ……って、なんで勃って」
「そりゃーあんな可愛いこと言われたらすぐ勃つだろ」
「なにをっ、おい、ちょっ――やめ!」
「だーめ! 誘った優斗が悪い!」
「誘ってない! 本当にもう腰痛いんだからな!」
「はいはい。ソフトにするから大丈夫」
「大丈夫じゃな――……っ」
俺の方を見た優斗の口を塞いで舌を差し込んで絡み合わせていけば、段々と抵抗は治まっていった。
そして恨みがましい目で俺を見つめて。
「……絶対明日も足腰たたない」
「へーきへーき」
「平気じゃない」
悪態つく優斗に笑いながらまたキスをして、夜を再開する。
だって、いまのは優斗が悪い。
『助けてくれたのが智紀でよかった。――気持ちよかった』
なーんてこと言われたら眠気も理性も一瞬で吹っ飛んでもしょうがないだろ?
【END】
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