*智紀から優斗へtrick or treat!


「トリックオアトリート!」
「……」

玄関を開けるなり響いた声。
に、自動的に俺の手はそのままドアを閉めようとした。

「ちょ、優斗! 待ってよ、なんでいきなり閉めるの。俺まだ入ってないんだけど」

智紀が素早くドアを押さえて締まらないようにしている。

「いや、入らなくていいよ。帰っていいから」
「優斗くん。それが親友にする態度?」
「俺疲れてるから」
「ゆーとー! ワインあるんだよ、一緒飲もう?」
「いらない」
「いやそういわずに」
「いらない」
「優斗!」
「なに」
「trick or treat!」
「……」
「trick or treat!」
「智紀、いくつ。そんなにお菓子が欲しいのか」
「いや別にお菓子はいらないよ? 悪戯でもオッケー♪」
「じゃ、おやすみ」

ドアノブにグッと力を込める。
もういいから本当に帰ればいいのに。
このまま部屋に入れてしまえばもう先は見えてる。
必死でドアを閉めようとするんだけど、智紀も笑顔浮かべつつ全力で開けようとしてくる。

「ほんっとうに、結構です」
「ね、優斗。俺寒いんだけど」
「早く家帰ればいいだろ」
「優斗の部屋で温まらせてよ」
「もう夜も遅いし帰った方がいいよ」
「せっかくのハロウィンだよ? 一緒に過ごそう!」
「別にハロウィンに特別な思い入れないし」
「たまには童心にかえってさ」
「いいです」
「わかった! もう、優斗の気持ちはわかった!」
「じゃあ、おやすみ」
「ちょ、ちょっと待てって! 今日は一回しかシないから!」
「一回? いや意味わからないから」
「この前3回立て続けにシたの悪かったよ」
「記憶にないです」
「だから今日は一回だけ!」
「俺マジで眠いから」
「ゆーとくん!」


そんな押し問答を――二十分程度繰り返し。
ガチャリ、と隣の部屋のドアが開く音がして―――。
「優斗、いいワイン貰ったんだ。入っていい?」
隣人がこちらを見ているのを察し、完璧に爽やかな笑みを浮かべ最初から仕切り直してきた智紀に、俺ももうしょうがなく、

「……どうぞ」

と部屋にあげる羽目になったのだった。
そのあとしつこい智紀にお菓子を上げたけど、



「っ、一回って言ったろ!!」
「しょうがない。優斗が可愛すぎるから」
「っ、明日、仕事っ」

結局智紀のいいように悪戯されたのは言うまでもない。


今度からチェーンかけたまま出よう。
いや、居留守使おうとしみじみと決意したハロウィンの夜だった。


【ともゆう☆おわり】

*はなさんがこのSSのイメージ4コマを書いてくれました♪
こちら


*智優でエロな悪戯!ってリクだったのですが時間の都合上エロくなりませんでしたw
脳内補完で四露四苦でっす☆


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