*捺から優斗へtrick or treat!
「とりっくおあとりーと!」
帰ってきたら部屋は真っ暗だった。
捺くんいないのかな、と思ったら声が響いた。
だけどその声に―――ん? と首を傾げた瞬間電気がついて身体にしがみつかれた。
「お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ!」
「……」
ぱっちりくっきり二重、色白で誰が見ても可愛いというだろう容姿。
魔女の帽子をかぶって黒のワンピースに黒のニーハイ、黒のマントをつけた姿は小さな魔女のようで。
俺の脚にしがみついて見上げてくる姿は本当に可愛い。
けど―――。
「え……捺……くん?」
どう見てもその姿は小学校低学年くらいだ。
女の子のようだけどその顔には捺くんの面影がある。
妹がいたらこんな感じだろうか。
捺くんのわけないけど、どうしてか俺はその子にそう問いかけていた。
「うん! そーだよ、ゆーとさん! お菓子ちょーだい!」
ほんの少し舌足らずな口調で小さい捺くんがせがんでくる。
なんで小さくなってるんだろう、とか、夢なのか?、とか実際結構パニックになりながら屈みこんで捺くんと視線を合わせた。
「お菓子なんでもいい?」
「いいよ!」
元気いっぱいの捺くんは大きく頷いて飛び跳ねる。
どうしてこうなってるのかよくわからないけど、とりあえずお菓子を上げて話を聞こうとキッチンに向かった。
小さい捺くんは俺の足にしがみついたままついてくる。
その光景も微笑ましくて頬が緩みっぱなしになっていた。
「お菓子、お菓子……」
探すけどこういうときに限ってろくなものがない。
いやあるにはあるんだけれど酒のつまみにと買っておいたものが多くて、子供には味が濃かったり辛そうなものばかりだ。
「……んー……」
どうしようか。
ちらりと下を見れば期待に目を輝かせた小さい捺くん。
「……」
迷いに迷って一番マシそうなチーズ味のチップをあげることにした。
「これでいい?」
「うん! 食べていい?」
「いいよ。ちゃんとすわってからね」
「うん!」
ワクワクとした様子の捺くんは俺の手をひっぱるとソファへと連れてって、そして俺を座らせると膝の上に乗ってきた。
「いただきまーす!」
ちゃんと手を合わせてからお菓子の封を切って食べ始める捺くん。
小さな手がお菓子を大事そうに取って口に運ぶのが可愛い。
目を細めていつも捺くんに感じる愛おしさとはまた少し違う暖かい気持ちで眺め―――ていたら捺くんの顔が曇って、泣きそうに歪んだ。
「どうしたの?」
「……っ、このお菓子しょっぱいー!」
やっぱり子供には辛かったか。
失敗したな、と後悔しているとみるみるうちに捺くんの目に涙が浮かびあがってきて慌てた。
「ゆーとさんのばかー!」
「ご、ごめん! 泣かないで、捺くん」
小さい捺くんはわんわん泣きながら小さな手でポカポカと叩いてくる。
もちろん全然痛くなく逆に可愛いな―――なんて、思ってる場合じゃない。
「ちょっと待って。そうだ、お菓子買いに行こう! ね?」
あやすように捺くんの背中を優しく叩いて涙にぬれた顔を覗き込む。
捺くんは口を尖らせると涙を振り切るように首を横に振った。
「もういーもん!」
「え? お菓子いらないの?」
「うん!」
あんなに泣いてたのに、本当にいいのかな?
小さい捺くんは手の甲で涙を拭うと、泣いてたのが嘘のような笑顔を浮かべた。
「ゆーとさんに、イタズラするもん!」
「いらずら?」
「そう! えろいイタズラするもん!」
「……エロい」
中身は元の捺くんなのかな。
いやでもいままでの行動見てると精神年齢も低くなってるみたいだけど。
いやでもエロい悪戯って?
たぶんいまの捺くんは10歳いってないくらいの姿だ。
そんな小さな捺くんのエロって―――。
「……だ、だめだよ!」
「なんで! だってお菓子くれなかった!」
「いや、でもエロいのは……」
すごく小さな捺くんも可愛いけど、罪悪感も覚えるし倫理的にやっぱり……。
「だめー! イタズラするー!!」
言うなり捺くんの顔が間近に迫ってきた。
「ちゅーしちゃうもん!」
「……」
なんだ、チューか。って、当たり前だよな。
キスくらいなら……大丈夫かな。
いやでも、と思ってる間に小さな目をつむった小さい捺くんの顔が近づいてくる。
「……」
これもひとつの思い出っていうかきっと夢だろうし。
キスくらい―――と俺もつい目を閉じた。
そしてゆっくりと唇が触れ合って―――……。
ボンッ、と空気が弾けるような音がした。
「……」
驚いて目を開けるとさっきと同じ魔女の格好。
だけど、
「捺くん……戻ったの?」
見なれた大人の捺くんの姿だ。
「お菓子くれなかった優斗さんにイタズラしちゃうぞ!」
「……え」
さっきのまだ続いているの、と唖然とした俺にまた捺くんが唇を塞いできてそのままソファに押し倒された。
悪戯に動き出す指。
だけど―――大きい捺くんからのこんな悪戯なら止める必要なんてない。
魔女っ子捺くんにくすぐられたりしながらその日の夜は好きなように捺くんに触れられた。
もちろん最後は俺が捺くんに触れていたけど。
Happy Halloween!
【END】
ショタ捺、エロ魔女っ子、捺の悪戯にあわてる優斗(結果としては涙に慌てるに変換しちゃってます)、をチョイスで混ぜました☆
そしてエロが皆無www
例のごとく脳内補完で![
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