俺の名前は幸村精市。
立海大附属中学校に通う三年生でテニス部の部長やってます。
よく皆の心を読むから魔族、黒属性、魔王って言われます。
でも全然魔族じゃないし、黒属性でもないけど魔王っていうのはちょっと気に入ってるかな。
奏が呼んでくれるし。
今日はあることを試そうとと放課後、人気のない廊下である人物の写真を釣竿につけてスタンバってます。
「さて、来るかな?」
準備はもうしておいた。
目当ての人物には手紙を出しておいたからあとは来るのを待つだけ。
え?部活はって?
真田と蓮二に任せてきたよ、ふふふ。
練習はいいのかって?いいんだよ、原作なら今入院してるから。
それにさ俺強いし。
おっとこんな話をしていると目当ての人物がきたきた。
『…………誰もいないじゃない』
「(きたきたー)」
キョロキョロと辺りを見回すなまえは俺が用意した写真を見つけた。
『…………!』
頬を赤く染め挙動不審にキョロキョロし出したなまえに笑いが込み上げてくる。
釣竿の糸を少しだけ巻く。
写真が自分から遠ざかったのに気がついたなまえはまわりを気にしながらも写真に近づく。
それをしばらく繰り返すと写真が俺の所にかえってきた。
『あ…ゆ、幸村!?』
「やっぱりそうだったのか」
『一体どういうこと?』
「いや、なまえが蓮二のこと好きなのはなんとなくわかってたんだけど確かめたかったんだー」
そう言って笑いかけるとぼふんと顔が真っ赤になった。
可愛い。
『ななななななななななな』
「はい、これ」
なまえを釣り上げるために使ったのは蓮二の中1の頃の写真。
「二年前の蓮二だ、欲しくない?」
『…………』
顔を真っ赤にしながらこっちをにらみあげる彼女はさすがミス立海。
ほんと可愛いと思う。
でも俺の好きな子には負けるかな。ふふ
『…………る』
「ん?聞こえないなぁ」
『いる!!』
「ははは、そんなに怒らないでもあげるよその為に用意したんだし」
『…ありがとう』
写真を渡すと嬉しそうに笑った。
恋をする乙女は本当に笑うと可愛いものだね。
「ジャッカルが、君のことで悩んでたんだ。いい幼なじみだね」
『ジャッカルは、本当にいい幼なじみよ。私の唯一の友達だしね』
「ところで蓮二のどこがいいの?」
『どこって…声が好き』
好きなところを聞いたその返事にきょとんとする。
「声、かい」
『好きなキャラクターの声に似てるの。だから罵られたいと思う、現在進行形で』
「え、ドM」
『でも今はそれだけじゃない、柳くんの何かにドキドキする』
「………………(無視した)」
ジャッカルが頭を抱えていた理由がちょっと分かった気がしたよ。
「ねぇ、なまえ」
『何?』
「蓮二のデータとってみたら?」
『は?』
面白そうだからちょっと提案をしてみよう。
「そうデータ。蓮二のプレイスタイルがデータテニスっていうのは知ってる?」
『ジャッカルからなんとなくは。』
「そう。データテニスでは青学の乾やルドルフの観月の上を行くデータを集めてる。それに蓮二は彼らに簡単にデータはとらせない」
『なら無理でしょう?』
「さあ、どうだろう。蓮二がデータをとらせないのはテニスだけかもしれないよ?」
そう言うと怪しいものを見るかのようにこちらを見るのはなまえ。
なかなか信用しないよね、この子。
『そんなこと言って私の反応みて楽しみたいだけなくせに』
「そうとも言うね。でもほらそうすれば蓮二のことわかるんじゃないかな」
『そうだけど、私はそんなことしなくていいわ…見てるだけでいいから。どうにかなろうだなんて思ってないもの』
「………………そうなの?」
『うん、でもひとつお願い出来るなら……やっぱり罵られたい、と』
「やっぱりドM」
『あの声にはね、否定はしない』
なんでこんなに自分を控えめに言うんだろう。
普通学校一番の美少女って選ばれたら威張り散らすような気がするんだけど。←偏見
『でも写真ありがとう。また萌えられるわ』
「なら良かったよ」
そう言うなりなまえはこの場を去ろうとする。
『それじゃあ』
「なまえ」
『ん?』
「さっき唯一の友達がジャッカルだって言ってたけどさ。俺だって相談にのるからね」
『?』
「なまえは俺の友達だからね」
『!…うん、また相談するわ』
そう笑うと俺の横を通って廊下から出ていった。
友達だからと言った時の驚いた顔も、そのあとの嬉しそうな笑顔も
「なんだか楽しくなりそうだ」
さて、この二人はどんな恋路を歩いて行くのかな?
すごい楽しみだ
(ジャッカル、聞いてよ)
(あ?)
(友達が出来た!)
(へぇ…誰だ?)
(幸村!!)
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bkm